コクレオブログ、新シリーズ「スタッフのつぶやき」
これまでコクレオのブログは子どもたちの様子やイベント報告など、
出来事ベースがメインでしたが、
ここにきてスタッフの想いも綴ってみるのもいいね、ということになり。
どんな人がどんな想いでコクレオで働いているのか、そもそもスタッフになったきっかけは?
何を大切にして毎日働いているのか、などなど。
スタッフも子どもたちの環境の重要なひとつ。
そんなことを発信していこうと思います。
第2回目は2025年度で働いて7年目となる「ぶっきー」が書きます。
ぶっきー(矢吹卓也)プロフィール
・常勤スタッフ。こどもの森歴7年。
・岡山出身。双子。高校3年生のときに半年間不登校になったことをきっかけに学校教育の在り方に関心を持つ。
・甲南大学卒業後、神戸神和大学の通信教育で小学校の教員免許取得を目指しながら、冒険教育のファシリテーターや児童相談所勤務を経験。
・教員免許取得後、箕面こどもの森学園インターンシップを経て、非常勤スタッフに。その後常勤スタッフとなり、低学年クラスの担当に。
・現在は、低学年クラスの担当をしながら、2026年度開校を目指す「六瀬ほしのさと小学校(認可申請中)」の立ち上げに関わる。
公立の小学校の教員になろうと思っていた自分が、こどもの森で働きたいと思った理由
高校3年生のときに半年間不登校になったことをきっかけに
「人が自然に育っていける教育とはどのようなものだろう?」ということに関心を持っていました。
高校3年生のときの自分は、やりたくない勉強をしなければならない受験勉強の重圧と、友達関係でうまくいかないしんどさを抱えていました。
今思えばあのときの自分は
「自分の興味関心を大事にしながら学べる」ことと
「自分の気持ちや人との関係を大切にできる」環境を求めていたのだと思います。
当時2年生の子に問われた言葉で、ここで働くことを決める
大学卒業後は、「公立学校の教員になって、自分がやりたい教育をやろう」と思い、教員免許を取得しました。
ですが、内心こう思っていました。
「公立学校ってなかなか労働環境大変って聞くけど、自分を大切にして働けるかな…」
人が自然に育っていける教育環境を求めているのに、その働いている人たちが自分の気持ちや関心を大事に働いているように見えなかったのです。
人生は一度きり。働くなら自分を活かして働きたいと強く思っていました。
そのように迷っている中、一度多様な学び場も見てみたいと思い、見つけたのが箕面こどもの森学園のインターンシップでした。
インターンとして、子どもたちと遊んでいるときに忘れられない出来事があります。
お昼休みに、1.2年生の人たちと鬼ごっこをしたり、だるまさんがころんだをしたり、いろんな遊びをしていました。
その時は「大人は子どもがいう遊びに付き添ってあげるのが普通」だと思っていたので、子どもたちに言われるがままに、提案された遊びを次々とやっていたのです。
その様子を見た当時2年生の子にこう言われました。
「ぶっきー、自分を大切にしてる?自分がしたい遊びをしていいんだよ。」
これを言われた僕は衝撃を受けました。
ここでは、大人も自分を大切にしていいんだとということ。
思えば、自分が高校生のときは、人を大切にすることを優先し過ぎていて、自分の心がボロボロになってしまいました。
こどもの森では、子どもも大人も対等に、自分も人も大切にしている。
その文化に惹かれて、当時スタッフ募集はしていませんでしたが「スタッフになりたい」と伝え、働かせてもらえることになりました。
外から公教育に影響を与える
自分を大切に働けそうだということ以外にも、ここで働きたいと思った理由がありました。
僕自身は、不登校の経験から、公教育をより自然に・民主的に変えていく一助になりたいと思っていました。
元々は公教育をより良くしていくためには、公教育の中に入るしかないと思っていました。また、オルタナティブスクールのように、選ばれた親と子が来れる場で教育活動をするのも前提の違いがあるため、ただ桃源郷をつくっているということにならないか?という懸念がありました。
しかし、改めて考えてみると、どの子もそれぞれ背景が違うため、どの子・どの層に関わっていたとしても、そこに優劣はないと思いました。
また、公立学校で一教員として起こすインパクトと、オルタナティブスクールでも一つの学校として起こせるインパクトは、こちらの方が大きいのではないかと思えました。
公教育の内側から変える人もいれば、外側からダイナミックに提案する人もいて良い。
そう思ったとき、僕が自分を活かしながら、社会的インパクトを出していけるのはこちらなのではないかと思ったのです。
働きながら感じること〜良い意味で素人集団〜
「良い意味で素人集団だね。」
これは、保護者の方に言われた言葉なのですが、コクレオの森を表す言葉としてとても気に入っています。
事務局長には、よく怒られるのですが、あまり計画的ではありません。(新しく何かやろうとしたときに、予算をとっていないことがよくあります)
カリスマ的なリーダーがいて、引っ張っていくような組織でもありません。
ですが、いろんな人が声を出し合いながら、対話し、共に創っていく組織だなと思っています。
僕自身も、やったことがないことでも、素人なりに意見を出し、自分の感覚を大事にいろんなことがチャレンジしていきました。

プロジェクトの展覧会があったらいいなと思って生まれた「こどもりマイプロジェクト展」

保護者とスタッフで、自分も人も大切にすることについて対話したいと思ってつくった「自分も人も大切にするワークショップ」

抽象的な概念から学ぶのではなく、具体的なモノゴトから学ぶことを重視した「テーマ学習」
学校外でも、コクレオの森の活動としていろいろチャレンジさせてもらいました。

対話のエッセンスを発信しよう!という思いで実施した「ともにつくるためのリーダーシッププログラム」

小学生も里山体験をということでスタートした「森のアトリエ」

まちづくりにつながる動きをということで活動していた「ロハスinこどもの森」
どの活動でも共通しているのが、それぞれの人を大事にするということです。
・「何がやれるか?」というスキルではなく、その人の「やりたい」気持ちが大事にされること
・得意なことを引き受けて、苦手なことは誰か他の得意な人にやってもらえること
その人の能力が重視されるのではなく、意志が重視される環境の中でとてものびのびと働かせてもらっているように感じます。
また、いろんなことをやってみたい自分にとっては、学校事業以外のこともやっているコクレオの森は働いていてとても楽しいなと感じています。
今は、私立小学校「六瀬ほしのさと小学校(認可申請中)」の立ち上げに関わらせてもらっています。
「夢見る小学校」というオオタヴィン監督の映画がありますが、箕面こどもの森学園もまさに夢見る小学校だなと感じています。
できる・できないではなく、やってみようという素人精神で積み重ねてきた先に、この大きなプロジェクトがあると思っています。
これからも、素人なりに日常の小さな夢や、少し先の大きな夢など、いろんな夢を見ながら生きていきたいです〜
(矢吹卓也)