【卒業生インタビュー⑮】自由に生きている〜高校生のゆうしさん

Pocket

卒業生インタビュープロジェクト第15弾はゆうしさんです。 ゆうしさんは今、通信制高校に通っています。

ゆうしさんプロフィール

・ 2007年生まれ、18歳。高校3年生(2025年8月現在)

・ こどもの森在籍期間:中学部2〜3年まで(2021〜2023)

・ 今の自分の生き方を端的に表す言葉:「自由に生きて、したいことはすぐにやる」

高校生活を満喫する現在

ーー本日はよろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。

ーーまず、お名前と生まれ年を教えていただけますか?

ユウシです。2007年生まれです。

ーー箕面こどもの森学園に在籍していた学年と期間を教えてください。

中学2年生から入って、3年生まで在籍していました。

ーー少し難しいかもしれませんが、今の自分の生き方を端的に表す言葉や一文があれば教えてください。

自由に生きている」という感じですかね。したいことをすぐにやる、という感じです。

ーーありがとうございます。今はどちらからインタビューに参加されていますか?

よろしくお願いします。自分の部屋です。上がベッドで、後ろにパソコンやスピーカーがあります。作曲をしているので。

ーー音楽がお好きなんですね。曲を聴いて再現したり、コードを使って作曲したりするのですか?

人の曲を聴いて作るというよりは、自分でオリジナルを考えてパソコンで作ります。楽器を弾くというより、パソコンに打ち込んで作っていくスタイルなので、楽器はあまり弾けません。

ーーパソコンでの音楽制作にハマったきっかけは何だったのですか?

YouTubeでEDM(ダンスミュージック)を聴いたときに「これ、いいな」と思って。せっかくパソコンがあるし、自分もやってみようと思ったら案外面白くて、ずっと続けています。中学の時から始めて、今も続けている感じです。

ーークラブに行ったりも?

まだ行ける年齢ではないので(笑)。でも、EDMのフェスがあった時には行ったりしています。

ーーでは、いくつか質問させてください。昔のことで思い出せないことがあれば、正直にそうおっしゃってください。まず、今は何をしていて、どんな気持ちで日々を過ごしているか教えてください。

今は、バイトをしたり、高校の勉強をしたり、音楽を作ったりして、結構楽しく生活しています。自分が「楽しい」と思えるように生活していこう、という気持ちでやっています。

ーー今、高校生でいらっしゃるんですね。箕面こどもの森学園を卒業した後、どのようにして今の通信制の学校を選んだのですか?

僕は受験やテストが苦手で、あまり高校受験をしたくないなと思っていました。それに、音楽などの趣味の時間も欲しかったので、通信制の学校に行こうと決めました。

ーー通信制の学校の生活はいかがですか?通信制の学校に長所、短所あると思います。例えば、人と関わる機会が少ない反面、友達を作りにくかったりするイメージを私は持っていました。

僕は結構積極的に学校の活動に参加しているので、人と関わる機会は多いです。それに、家で一人で勉強するので集中できますね。周りと一緒に勉強するのが苦手だったので、自分には合っているかなと思っています。

ーー周りと一緒に勉強するのが苦手なのはなぜですか?

周りが気になって集中できなかったり、普通の学校だとテストで点数が出て比較されたりするのが少し嫌でした。

ーー通信制の学校では、どのように科目を取っていくのですか?

必修科目をやりつつ、僕の学校では動画編集、プログラミング、音楽など、追加で選べる科目があります。僕は動画編集や音楽を履修して、新しいことを学んでいます。

ーーその学校を選んだ決め手はありましたか?

一つ上の卒業生もそこに行っていたので、知っている人もいるし、行ってみようかなという感じでした。

こどもの森で過ごした日々

ーー箕面こどもの森学園についてお伺いします。中学校2年生から入ったとのことですが、なぜ箕面こどもの森学園を志望したのでしょうか?

以前通っていた学校は勉強や校則が厳しくて、自分には合わないと感じていました。もう少し自分のしたいことを深めたいと思っていた時に、親に「こういう学校があるよ」と勧められました。見学してみたら面白そうで、プロジェクトの時間を使えば音楽などもできると思い、ここに決めました。親から紹介されて知り、見に行って「いい学校だな」と。

ーー音楽をやるために転校したわけではない?

そういうわけではないです。通っているうちにプロジェクトで音楽をやってみたら面白くて、続けています。転校理由は「前の学校が合わなかったから」。他を探していたら自分に合いそうだと思って。

ーー学校を変えることについて、ご家族とはどのような話し合いをしましたか?

正直あまり覚えていないですね。「ここ、いいんじゃない?」と見に行ったら「良かった、ここにしよう」というくらいのノリだったと思います。

ーー箕面こどもの森学園で特に印象に残っている出来事はありますか?

プロジェクトの時間が特に印象に残っています。自分のしたい学びを決めて、そのために時間を使うというのが、以前の学校にはなかったので面白い取り組みだなと思っていました。あとは、海外研修もここならではの経験でした。

ーー海外はどちらへ?

3年生の時にベトナムへ行きました。日本とは全然環境が違って、すごく賑やかな国という印象です。夜でもスピーカーで爆音を鳴らしてワイワイしている人が多くて。現地で知り合った人とインスタを交換したのですが、投稿を見る限り、今もハイテンションな感じで、賑やかな国なんだなと思っています。

ーーこれまでの人生で、生き方や進路を決める転機になった出来事はありましたか?

箕面こどもの森学園に来た時に、考え方が変わったことです。「やらされる勉強」ではなく、「自分からやっていく勉強」もあるんだなと知りました。それまでは先生から言われた勉強だけをやるものだと思っていましたが、プロジェクトや自主学習で自分で何をするか決めていく経験を通して、自分の勉強の仕方が変わったと思います。最初は何をすればいいか戸惑いましたが、好きなことを手がかりに進めました。

ーー好きなことに取り組む中で、壁にぶつかった時はどう乗り越えていますか?

僕の場合、作曲で行き詰まったら、一度その曲から離れてまた別の曲を一から作り直すようにしています。

ーーちなみに、今まで何曲くらい作ったのですか?

もう分からないくらいありますね。途中で詰まって作り直したものが多いので。ちゃんと完成した曲で言うと、数十曲程度だと思います。

ーー音楽の面白さに気づいたきっかけは何だったのですか?

箕面こどもの森学園のプロジェクトで、自分が聴いていた音楽を「自分でも作りたい」と思って作ってみたのがきっかけです。教科書を読んでリコーダーを吹くような授業とは違って、自分が「こうしたい」と思ったものを作れたのが面白くて、ハマりました

ーー好きなアーティストはいますか?

Martin Garrix が好きです。ナンバーワンDJを決めるランキングで、連続1位を取ったりするトップアーティスト。彼に憧れて作り始めました。ジャンル的にはEDMの中でもハウス、特にプログレッシブ・ハウスが好きです。

とにかく自分のしたいことを優先して生きていく

ーー改めて振り返って、箕面こどもの森学園での経験は、今の自分にどのような影響を与えたと思いますか?

作曲という趣味ができましたし、今通っている学校でのグループでの話し合いにも活きています。箕面こどもの森学園では、多数決ではなく周りが納得するまで話し合うことを学びました。その経験から、今も自分から積極的に発言し、議論をリードすることができています。当時は集会で寝てしまうこともありましたが(笑)、今はリーダーを務めたりもしているので、成長できたのかなと思います。

ーー周りの納得を得るまで話し合うのはエネルギーがいることだと思いますが、続けられる秘訣はありますか?

最初に「今回はこれを決める」という大きな括りを決めて、そこから脱線しないように、テーマを細かく区切って一つずつ話し合いで決めていくようにしています。一度にまとめてやると話が脱線してしまうので。場数で上達したかはわかりませんが、高校に入ってから自分が良いと思うやり方を実践してきました。

ーー素晴らしいですね。では次の質問です。今、何を一番大事にしていますか?

とにかく自分のしたいことを優先して生きていく、ということを大事にしています。作曲でも何でも、「あれがしたい、これがしたい」と思ったものを片っ端からやっている感じです。

ーーこれからどんなふうに自分の人生をデザインしていきたいですか?

ある程度は決めています。自動車が好きなので、最終的にはそこに関わる仕事をしたいです。すでに自動車の整備を学べる大学も決まっていて、そこはトヨタの大学なので、卒業後はトヨタに就職すると思います。最終的には、そこからカスタムカーなどを製作できるような自分のお店を作りたいと考えています。

ーーどんな車が好きなんですか?

トヨタのスープラやMR-Sが好きです。デザインで言うと、アストンマーティンやベントレーのような、少し古さもありつつスポーティーなクーペが好みですね。

ーー将来の計画がしっかりしていますね。

トヨタの大学を選んだのも、EV、エンジン、ハイブリッド、水素エンジンと、これからの自動車技術を幅広く学べるからです。そこでしっかり知識を深めてから、将来の仕事を考えようと思っています。

ーー海外で住んでみたい国はありますか?

イギリスですね。個人的にイギリスの車が好きなので。将来的にはアストンマーティンやマクラーレンに乗ってみたいという夢もあります。

ーー夢を実現するためにも、自分のお店が必要ですね。

そうですね。自分の作った音楽をかけたりもしてみたいです。

ーーしっかり自分の将来を考えていて、本当に素晴らしいと思います。こどもの森の話を聞いて安心しました。うちの子は公立小の2年生から行かなくなり、こどもの森に入って歴史(織田信長など)をテーマに学び始め、道を自分で見つけているように見えます。今日の話で、より安心しました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

インタビューを終えて・・・

当日のインタビュー時に、迂闊にも私は寝落ちして遅刻してしまいました。でも、ゆうしさんは待ってくれていました。忙しいと思って、と気遣いの言葉と共に。申し訳なさや、優しさのありがたさを感じながら始まったインタビューでしたが、はきはきとテンポよく答えてくれて私の落ち度を取り戻す勢いで進んでいきました。

インタビューの中で特に印象的だったのは、ゆうしさんが高校でグループの話し合いをリードし、まとめている点でした。社会生活において必要な力をゆうしさんはこどもの森で養い、日々ブラッシュアップしているのだと感心しました。私個人の話をすると、話し合いは好きですが、話し合いをリードすることは好きではありません。話し合いをリードすることは人と向き合い、言外に込められた人の要望を嗅ぎ分け、みんなの意識が向かう方向を見出していくことだと感じます。なかなかに、大変な作業です。でも、自分の生き方を作っていくために必要な力で、誰しも避けては通れません。

直感的に選んだこどもの森がゆうしさんにフィットした部分もあったのでしょうし、本人の適性もあったことでしょう。彼は自分で選んだ環境で力を伸ばすことが短期間ながらできたのだと思います。ゆうしさんは、将来やりたいことを既に見つけていますが、どのようにやりたいこと、なりたい自分になっていくのか、その過程を聞くことができるとよいな、と思いました(K.H)。