【Manabee Bチーム 共育プログラム】『問題解決RPG みんつく』への The Long and Winding Road

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今年度Manabeeプログラム受講者のみなさんに
こどもの森の子どもたちに向けて、共育プログラムを実施していただきました。

 

Manabeeプログラムとは、
箕面こどもの森学園20年の歴史の中で培ってきた
こどもまんなかの学びの場づくり4つのエッセンス(自己肯定感・自己決定・対話・ESD)を共有し、
対話やアクティビティを通して体験的に学んでいただくプログラムです。

 

今回はManabee  Bチームのみなさんの実践報告です。
以下、Bチームのメンバーが書いてくださった文章を掲載いたします。

 

1. 概要


大阪近郊4名と千葉県から1名の計5名で、
中学年部向け共育プログラム「Manabeeオリジナル 問題解決RPG『みんつく』」を実践しました。

このプログラムのねらいは、「対話」という観点から、
①「自分とは異なる立場の役になりきり、問題解決のための意見を出すこと」としました。

また、社会の課題を解決するというゲームを通して、
②自分に与えられた資産や知恵を使うことで、社会課題を解決できる可能性を感じてもらうこと、

③資産は、「お金」「土地」「地位」など目に見えるような有形資産だけでなく、「人脈」「スキル」などの無形資産という目に見えないものも含まれ、使い方を工夫することにより人生を豊かにすることができる、と実感してもらうこと、としました。

 

2. ポスター

 

 

3. 話し合いの過程

 

9月のミーティングから、計14回の話し合いをしました。
オンライン上でのミーティングでしたが、対話を重ねる過程は、まさにみんなでおいしいパンを作っているようでした。
みんなで意見を出し合い、何度も何度もこねていきました。

最初はぱさぱさで上手くまとまらなくても、だれかの意見でつながりだしたり、時間を置くと発酵が促されてイメージがさらにふくらんだり。採用されなかった意見や子どもには選ばれなかった課題カードもたくさんありましたが、それら全てがこのプログラム作りには必要なものであり、それらがあったからこそ、厚みや深みが出たと思います。

子どもたちが、「おいしいね。」と食べてくれるような、食べ応えのあるものを届けたい、という思いを共有しながら、メンバー全員が納得できるまで話し合い、練り上げることができたと思います。

1:9/16 いろいろな角度から意見を出せるプログラムにしたい、という思いを共有

2:9/25 テーマ・どんな方法で行うか等、意見を出し合う 

       HW:活動の流れを考えてくる 

3:10/2 各々考えてきたプログラムの流れをプレゼンする。

4:10/6 「お金」というテーマを含んだゲームを作ることが決定する。

       HW:タイトルを考えてくる

5:10/10 仮のゲームを体験し、方向性がほぼ確定する。

6:10/12 捨てきれない思いや違和感を共有することで、
       メンバー全員が納得できるよう話し合う。

                     また、話し合いをしたことにより、
       このゲームに取り組む意義がさらに明確になった。 

     ・ポスター作成 

7:10/16 ゲームの進め方、当日の流れを確認。
                   「課題カード」 の内容を検討する。

       HW:問いを考えてくる。

8:10/24 シュミレーションを通して、「課題カード」 の内容を検討する。

      どのような社会資産ポイントに換算できるかを確認する。

9:10/27   ↓

10:10/31 社会資産ポイントで「自然」に換算できる「課題カード」の問いについて
                    検討する。

11:11/7  ワークシート作成

12:11/11 ポイント換算について確認、

13:11/13 当日の流れ、準備物についての確認

14:11/17 当日早めに集合して、最終準備

     ※当日は、中学年部の15名が参加してくれました。

 

4. 当日の流れ

 

 1. 導入は「生きていくのに必要なものって?」

 

 

 2. ゲームの目的を共有

 

 3. 役としての目標を立てることで、役を自分の中にインストール!

 

 

 4. ゲームスタート!詳細は活動の様子に記載

 

 

 5. まとめで、私たちがこのゲームを通じて感じてほしかったことを共有

 

 

5. 進行上、工夫した点

 

・全体進行で工夫したのは、複雑で難しいゲームなので「伝え方」を工夫した。具体的には、やってほしいことや伝えたいことを1つずつに区切ることと、内容の緩急を付けること。具体的には「まずはこの役の目標をたててみよう」など、その後のゲームの展開などには一切触れず、目の前の取り組む必要のあることだけを伝えて進行した。また、対話に重きを置いていたので、ポイント換算などは事務的に済ませるなど、時間と内容に緩急をつけた。

・子供たちからでた突拍子もない意見であっても、「なるほど~」と聞く耳を持った。そうすることで、他の子からもいい案やとりあえず意見を言ってみよう!考えてみよう!という話しやすい雰囲気ができたかも。

・早めに来て準備することで、余裕をもって本番に臨むことができた。

・「⚪️⚪️君はこれについてどう思う?」「◆◆ちゃんの意見をまとめるとこういうことかな?」など、こちらから問いかけるようにすることで意見が出しやすい環境・雰囲気を作ることができた。

・当日の一番の懸念点は、見知らぬ大人を前に、短時間で生徒達が自由闊達な意見交換が出来るかということだった。それを踏まえ、参加者の名前や性格を把握している利点(保護者)を活かし、メンバー構成を見ながら各市の補助に入った。

・市長が生徒達と話す時間を確保するため、お互い意思疎通しながら作業的な事を担った。

・話し合いの過程で、「課題カード」について20個ほどの題材を持ちより、全ての内容についてメンバーでシュミレーションをし、子どもたちが考えやすいものかを検討した。難易度を考慮し、順番についても事前に検討した。


 

6. 活動の様子

 

[1]生きていくのに必要なものって?

 

「水」「家族」「お金」「トイレ」…?

ー  今日は「町づくり」を通して、「社会の仕組み」について、皆さんと考えてみたいと思います。お金の役割やどんな生き方をしていきたいか、一緒に考えていきましょう!



[2]役割・目標決定!

ー  では、「役カード」をめくってください。そして、「役」としての目標を考えてください。転職してもOKですよ!

「ん…?農業…老人?70代?(健康8、家族2と書く)」

「えー、そりゃお金持ちになること。以上!」

「ヘアサロンオーナーとしてスキルを活かして、家族を愛する人になる」

と名札に書きこんで、ゲームスタート!

 



[3]ゲームの流れ

 

①課題解決案をだす

②ポイントを使う

③解決方法を決める

④市長にプレゼンする

 



 「名物をつくる!これで人も来るやろ!」

 「そんなことしても、この問題は解決されへんで。結局だれも住まへんねんから。

  だから空き家をこわす。」

 「勝手に壊していいん?」

 「所有者に頼んで、不動産に出してもらおう。」

 「壊すのにはお金いるけど、どうするん?お金、出したくないわ。」

 「お金出すわ。それで解決するやろ。」

 「じゃあ、壊したとして、空き地になるけど、そのままにする?」

 「わたし、お金出して、建て直して、教育関係の建物にしようと思うけど、どう?」

 「いいんちゃう?」

 

 「無料で住んでもらうキャンペーンをする!

 「それをSNSで拡散する!」

 「それ、どのポイントでする?」

 「人脈かな~?」

 「管理人を雇って、家を管理してもらう」

 「家の周りをきれいにする~。自分で、、ボランティアで」

 

⑤どんな「いいこと」があるかを出す 

⑥市長が「いいこと」を社会資産に変える

⑦貰った社会資産をワークシートに記入

・空き家を壊すことで、「治安」がよくなる

・町の魅力が向上することで、「経済」が潤う

・「教養・文化」の面で豊かになる

 

①〜⑦を課題ごとに繰り返す。


 

例)課題A

 治安→「土地」「お金」

 経済→「お金」「土地」「家族」

 教養・文化→「スキル」「健康」

社会資産カードを制作する事で、視覚化。

各市によって解決方法が異なるため、同じ課題でも得られる社会資産の数や種類は異なる。

解決に使用し減った個人資産と、解決によって得られた個人資産を計算し、個人の最終ポイントを出す。

当初のなりたい自分になれたか検証。


7. プログラムを終えて(感想)

・たくさん意見が出て良かった。

・「社会の簡易版やなこれ!」というつぶやきがあって良かった。

・難しいことをした割に出来て良かった。

・もっと時間をかけたかった。

・ステキ!!スギル!!

・改善する点はたくさんあるが、ゲームとしては成功!!

・反省を踏まえてもう一回やってみたい。複数回テーマを分けて実施したかった。

・緊張した。

・自分自身のゲームの理解が足りてなかったかも。

・市長として話をすすめるのか、判断するのか、立ち位置が難しかった。

・子供たちから市長へのフォロー(いじり⁉︎)があった。子供たちに感謝。

・「社会はもっと複雑。住民の意見は届かないから難しい。」という感想があった。でもグループとしては意見を出してくれていた。

・一生懸命に作ったことが伝わったと思う。

 

箇条書きでまとめましたが、プログラムの作成過程や本番での交流を通じて、多くのことが成果として残せたと思います。ありがとうございました。

(Manabee Bチーム)