2021Manabeeプログラム第3回「民主的な場のあり方~多数決をしない話し合い~」

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Manabee講座3回目「民主的な場のあり方~多数決をしない話し合い~」を開催しました!

リアルとオンラインの同時開催で、全国より合計約30名の方々が参加してくださいました。

おなじみのハッピータイムで自己紹介の後、「対話の土台について」みほさんからお話がありました。

 

「対話」ってなんだろう。

人はみな目の前で起こった出来事や見聞きしたことを、事実だと思っている。しかし、それは自分の解釈で成り立っているもの。自分にとっての自由が、相手の自由を侵害しているかもしれない。「対話」とは意見や考えが違う人たちが問いを立てて、その答えを「探求」していくもの。「おしゃべり」「議論」「お説教」とは違う。

 

サイコロでの例え話がとても分かりやすかったので紹介します。

自分からはある一面しか見えていなくてそこには星が書いてある。でも隣の人が見ているサイコロにはリンゴしか見えない。また別の人には猫にしか見えない。どれだけ自分が見ているものを主張しても周りの人と異なり対立を生む。まずは、相手にはそう見えているのだなと「受け止め」、理解しようとすることで、理解される。

実は「対話」とは「相手との対話」だと思い込んでいるが、「自分との対話」。自分を俯瞰して見ることができると、思い込みや囚われに気づくことができる。立場やゴールを手放せるようになると、フロー状態になれる。

 

 

そしてお話は、「“対話のある学び場“におけるコーディネーターの役割とは?」という内容に進みます。

我々おとなが受けてきた教育というのは、一方的なお話を聞いて知識を身に着け暗記をするという場が多かった。

「対話のある学び場」というのは、「授業」や「講義」とは異なる。

コーディネーターの役割として大切なのは、

働きかけ/関係性/あり方/自分との対話

「働きかけ」とは、話がそれていたら戻したり、意見を言いづらくしている人を勇気づける。

「関係性」とは、その場に居られる安心感や信頼感を持ってもらう。そのためにはこちらがまず心を開いて信頼することが大切。

「あり方」とは、心を開いて、想定外のゴールでも大丈夫と手放すことができている状態。

「自分との対話」とは、普段から自分の内面を見つめて学び続けていること。

 

ここでManabee1回目、2回目で学んだ「自己肯定感」「自己決定」をふまえて、初めて「対話」が可能となることに気づくことに!

「働きかけ」がうまくいかなくても、学び続ける大人の毛穴から伝わっていることがたくさんある。

「多数決」ではなく、いろんな人の想いを出し合って誰もが反対しない納得する形を出していく。「浮揚面」と表現できる。それが本当の民主主義である。

 

講義の後は、スタッフのどいちゃんとゆたかさんから、こどもの森学園での具体的な「対話」のエピソードを紹介してもらいました。

印象的だったのは、「子どもたちが日々の生活の中で、対話しながら納得する経験を積んでいく事自体がとても大切な事だと感じている。小さな声を大切にしてもらえることで、民主的な大人になり、答えのない問いに向き合えるようになると思う。」というメッセージでした。

 

さて、いよいよロールプレイの時間です。

目的は、民主的な対話の場の体験。なるべく自分自身で居ることを大切にしてもらい、変化する自身を感じていただきます。

今回の事例は、「命の大切さを学ぶという目的で、学校でニワトリを飼い始めることになりました。しかしある日、イタチに襲われて2羽とも死んでしまいました。しかしまた学校で飼いたいと、ある1人の中学生から提案がありました。以上について全校集会で話し合いを行います」というもの。

役割は以下。司会(小6)・提案者(中2)・反対(小4)・迷っている(中1)・おとな(スタッフ)

なるべく自分自身の感覚と近い役割を選んでいただき、前半で学んだ「対話」を体験していただきました。

 

体験してみての感想をシェアしました。

「多数決で決まらないから、安心感があって発言できた」

「司会はまとめたくなるが、ゴールを手放すを意識したら、なるべく意見を聞こうとすることができた」

「スタッフとして、子どもたちを信じて見守ることが難しい」

「話していくうちに、最初の意見と変化していって、とてもグラグラと感情が動いた」

という声がありました。

 

最後に今日一日のふりかえりをしました。

「自分自身の中の“学び”に対するイメージが変わった。科目だけではない。」

「対話することで相手を知ることができる。相手への思い込みや慣れには注意したい」

「自分の意見を言っても聞いてもらえない&反映してもらえないという風土はとても問題があると感じた」

「民主主義とはとても強い頑丈なものだと感じた。これまではトップダウンのやり方の方が強いと思っていた。」

「いろんな意見を聞くことで、自分の視点の広がりを感じた」

「自分の周りでこういう場面があった時、強い意見が反映されることが多かったし、それが楽だった。それに慣れていくうちに、きちっとした意見を持たなくなった。小さいころから“本当はやりたい・やりたくない”を考える習慣を持つことはいい事だと痛感した。」

といったものがありました。

 

次回はいよいよ最終回「ESD」を学びます。

自己肯定感をもって自己決定ができ、自分の自由と他人の自由のどちらも大切にするために対話ができ、自分の周りだけではなく、地域、社会、自然環境、最終的には地球全体がHAPPYであることを願える人であってほしい。Manabeeの世界はどんどん広がっていきます。

(T.O)

 


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