コクレオブログ、新シリーズ「スタッフのつぶやき」
これまでコクレオのブログは子どもたちの様子やイベント報告など、
出来事ベースがメインでしたが、
ここにきてスタッフの想いも綴ってみるのもいいね、ということになり。
どんな人がどんな想いでコクレオで働いているのか、そもそもスタッフになったきっかけは?
何を大切にして毎日働いているのか、などなど。
スタッフも子どもたちの環境の重要なひとつ。
そんなことを発信していこうと思います。
第4回目は今年度から非常勤スタッフとして箕面こどもの森学園に勤務している「としこ」が書きます。
としこ(小野淑子)のプロフィール
- 勤務形態: 非常勤スタッフ(低学年担当)
- こどもの森歴: スタッフ5ヶ月目(保護者歴6年半+インターン1年半)
- コクレオの森歴: 子育てカフェ 3年/子育てひろばだんでらいおん1年3カ月
- 前職: 教育系企業の会社員(約17年)
- 家族構成: 夫と子ども3人(21歳・高校1年生・中学3年生)の5人家族
出発点は、「母として悩みながら生きていた日々」
大学卒業後、教育系の会社で指導者支援の仕事をしていました。産休・育休後に職場復帰したものの、理想の子育てとのギャップに悩み、毎日かなりイライラしていました。。。心配性だった私は、子どもたちが将来困らないように能力をつけさせてあげなきゃと考えていましたし、その考えに何の疑いも持っていいませんでした。偏った子育てをしていたと思います。
ほぼワンオペで10年程経った頃、子どもたちの不登校・病気・反抗期と困りごとが一気に押し寄せました。私は混乱しそれでもまだ強い口調で子どもたちを思い通りにさせたいと考えていました。いわゆる「毒親」でした。当然、親子でますますぶつかり家の中は怒りと悲しみに満ちていました。「このままでは良くない。子どもと、ゆったりじっくり過ごしたい」と思い、退職を決意。今思えば、何かに追いかけられているような感覚で、「やっとの思い」で毎日生きていたと思います。ある時長男から「もっと自分のことを信頼して欲しい・・」とがっかりした表情で言われ、とても大きな衝撃を受けました。「心配でよかれと思ってやっていたことは全部、この子へのメッセージとしてそんな風に伝わっていたのか・・」と猛反省し、自分の子育て観に疑問を持つようになりました。
こどもの森との出会い
子どもたちの不登校をきっかけに、フリースクールやオルタナティブ教育に関心を持つようになりました。世界にはいろんな学校があることに驚きました。知人からきのくに子どもの村学園のことを教えてもらいホームページを見た時に、こどもの森のリンクを見つけました。
こどもの森に出会い、幸運なことに娘2人が入学。実は初めの頃は半信半疑でもありました。いわゆる学習指導要領に沿っていない教育を受けて将来ちゃんと生きていけるのだろうかと。ところが通い始めて4ヶ月ほど経った頃から、目に見えて元気になっていく娘たちに驚きました。「なぜ公立学校だと“行きたくない”のに、こどもの森だと“行きたい”のか?」
その理由を知りたくて、子育てカフェやManabeに参加し、保護者・スタッフ・会員さんとたくさん話しました。そこで学んだことは、人生の価値観を大きく揺さぶるものでした。
・「自己肯定感」ってこうやって育まれるんだ
・子どもだけではなく自分のことも信頼しよう
・「対話」のパワフルさ
ほかにもいろいろあります。
コクレオの考え方に触れ、学んだことをとにかくどんどん実践していきました。気が付いたころには家族みんな笑っていました。学校に来てスタッフと話したり、イベントのサポートをしたり運営側に関わる度に自分もワクワクすることが増えていきました。
スタッフになりたいと思った理由
理由はとてもシンプル。
「この学校の人たちって、みんなすごく素敵」
そう感じたから。子どもたちも、スタッフも、保護者も。いろんな個性を持つ人たちが、それぞれのスタイルでこの場所を創っている。そして、普通の学校では考えられないような保護者との関係性もあります。良く言うと「信頼してくれている」、悪くいうと「そこまで突っ込んで言うのか。。」な時も(笑)
そんなことも含めて、この学校の風土がステキだなと感じ「もっと関わりたい」「仲間になりたい」と思いました。
実際に働いてみて感じたこと
まず、やっぱり驚いたのは職場のあたたかさ。
子どもたちもスタッフも、学校の理念である「自分も人も大切にする」を、日々の生活の中で意識しています。
こどもの森では毎朝「ハッピータイム」という時間があります。「ハッピータイム」というのは、子どもたちが毎朝サークルになって自分が話したいこと(朝の登校時間のできごとや昨日見た夢など)を自由に話せる時間のこと。
ある時のハッピータイム(確か1月の震災の日)で、私が体験した震災の話をしてもいいかと子どもたちに質問したら「いいよ~聞きたい~」と言って、一生懸命聞いてくれた時がありました。私はこれまで震災の話は積極的に人に話すことはしてこなかったのですが、ハッピータイムなら話してみたいなと思いました。話してみたら低学年のひとたちのまなざしや質問で想像以上にあったかいものが伝わってきて涙をこらえながらその場にいました。自分に興味を持ってもらえるというのはすごく大切で、そして、そういう時間って意外と日常生活の中には無いんだなということにも気づきました。
クラスミーティングでも「ハッピータイム」を取り入れているので、お互いのプライベートの意外な一面が知れて盛り上がることもあり面白いです。
あと、私が特に好きなのは、「学習計画」の時間です。
1週間の振り返りと次週の計画を、子どもたち一人ひとりとスタッフがシェアする時間があります。学習のことだけではなく、うまく言葉にできないモヤモヤやおうちでの事、友だち関係の悩み事などを話してくれることもあります。今その人が何を感じているのかを知るのがとても興味深くて、その人を深く理解できる大切な場になっています。
「先生(?!)」としての初挑戦
私は今、人生で初めて「先生」という立場で働いています。(こどもの森では、「先生」という言葉は使わないのですごく違和感ありますが・・・)
小学校の教員免許もありません。
こどもの森では一方的に何かを教えるという時間はほとんど無いので、予想できないことの連続です。慣れない私はどの時間も必死ですし、一日終わったあとはクタクタです。だけど子どもたちは私のことを受け入れて、無条件に信頼してくれているんだなといつも感じていて、そういうあり方がステキだなあと感じています。
今の社会は、能力主義でコストパフォーマンスやタイムパフォーマンスが優先されていることが多いです。資本主義なのでそうなることがある意味当然かもしれません。だけど少なくとも教育現場では、こどもたちが安心安全に過ごせて、自身の気持ちややってみたいことに気づいて、それをやってみたい!と思えることの方が大切だと思います。そのためには、まずは私たちおとながそうある事で、社会へのメッセージになればいいなと考えています。
これからも、子どもたちと一緒に私自身も成長していきながら、同時に社会への問いを投げかけられるようなそんなスタッフでありたいです。
(小野淑子)