もりラボ企画「かずの不思議」

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もりラボ企画「かずの不思議」を開催しました。

「かずの不思議」はこどもの森の選択プログラムとして小学生向けに実施しているプログラムですが、それを大人向けに企画したのが、今回のおとなの「かずの不思議」です。

講師はこどもの森で講師をしてくださっているアミさんこと、松崎雅夫さん。

以下、アミさんから当日の様子を報告していただきました。

(*もりラボ企画とは、認定NPO法人コクレオの森の会員さんが企画したイベントです。)

 


本催しは、当初2020年10月に開く予定でしたが、コロナの急な広がりのために直前で中止。その後もコロナ禍で開催が延び延びとなり、2年後の本年2月にやっと案内が発表されたものの、暮れから続くオミクロン株の全国的な広がりで、直前まで開催を迷っていました。2月はじめの時点で参加希望の方に、係から計画続行の賛否を最終確認して感染対策を十分に講じて開くことを決定。当日は遠く岩手からの参加者を含めて、8名の方々が会場に足を運ばれました。

 

<プログラム> 今回は、2018年の一回目からずいぶん間が開いたことから、温存してあった10本のテーマから8本を準備しました。→(次からは弁明です)「かずの不思議」は、ふしぎな現象と、その数理的な解明の2つを楽しむことが趣旨です。ところが、今回はサービス精神が昂じて8本も準備したため解明部分が不十分気味。そのために、本ブログは、【補足】で解明の個所に紙幅を割きました。下記では、さらに項目を絞り込んで内容の紹介をさせもらっています。

最初に参加者が自己紹介してから、早速「数の世界」に入っていきました。

 

1. 不思議な時計
【現象】表の赤い針から、裏側の黒い針が示す時刻を予測します。針を表から裏にする際に一回転するだけなのに、予想外の時刻が次々に現れます。

【準備】紙の円盤に、時計の文字盤と同じ位置に12個の黒点を打ち、表の面には赤い長針を12時の位置に、裏の面には黒の長針を3時の位置に描きます。そして黒点の幾つかに糸を通して円盤が吊るせるようにした模擬時計をつくります。(下の写真)

表の面

裏の面

【進行】 最初に、赤い針が12時を指しているとき、円盤を回転させると、黒い針が3時になっていることを確認します。次からは、適当な糸を摘まんで時計をつるし、赤い針は何時かを確認し、そのとき黒い針は何時を指しているか、参加者に予想を書いてもらいます。そして、時計を180度回転して、各人の予測結果の正否を確認します。

【補足】予測は簡単そうですが、円盤の回転が糸を軸にしておこなわれるため、空間認識の力に左右されて予測は難しいです。しかし、当日2問を連続正解した方が二名もおられました!
一般に赤い針がX時のとき、黒い針は(15-X )時を指します。なぜでしょうか? 理由はみなさんの課題にしました。(ヒント 難しい回転を+-の操作におきかえると楽になります)

2. どうぶつ絵マジック (和算で「目付絵」といわれる伝統的な芸の現代版)
【現象】参加者は円盤の周辺に描かれた動物から1つを選び、その場所から中央の回転盤が示す数だけ移動した位置の動物を覚えます。一切言葉を交わさず、演者は動物名をあてます。

【準備】 円の周辺に12匹の動物を描き、中央には数字を記入した小さな円盤をピンで止めて回転できるようにした円盤をつくります。(下の写真)

斜め上から見た円盤

【展開】 参加者が好きな動物を1匹選ぶと、演者は中央の円盤を指で弾いて回転させます。参加者は選んだ動物の真上にある数字を読み取って、その数の分だけ時計の針の方向に移動した位置の動物を覚えます。演者は、参加者が覚えたばかりの動物を言い当てます。

【補足】 ①当日は大きな円盤の代わりに、全員に動物を描いた円盤と、小さな円盤を配布して、それぞれ中央の円盤を自由に回転させて数字の位置の動物を覚えてもらいました。そして、私が各人の座席に出向き、円盤を見て動物の名前を云いあてました! ②12時の位置から、時計の針の回転方向と逆向きに数字を1,2,3,…9,10,11と記せば、好きな動物から数字分だけ時計の針の方向に移動すると、必ず12時の位置に戻ります。これが本マジックの仕掛けです。ただし、通常の数字のままだと仕掛けが分かるため、一つ置きに数字に12を加えるなどカモフラージュします。③当日、仕掛けを丁寧には説明できませんでしたが、これでお分かりでしょうか?

 

3. 最後は、必ずみんながおなじ
【現象】 参加者にそれぞれ好きな数を思い浮かべてもらい、その数に、計算操作を4回加えると、なぜか、全員の計算結果が同じ数になります!

【準備】紙と筆記用具

【展開】次の言葉で指示します。①好きな数字を思い浮かべ、その数に1をたしてください。  ②その結果に2を掛けてください。 ③その結果に6をたしてください。 ④その結果を2でわってください。 ⑤その結果から最初に思い浮かべた数をひいてください。 → すると、最後の数字は全員が同じ4になります!

【補足】上の③で、たす数を2Nにすれば、最後の数字は(N+1)になります。 ①~⑤を順番に計算していけば、必ず最後はN+1です。簡単な文字式の計算で確認できます。(最初の好きな数は大きくてもいいのですが、計算を間違えやすくなるので2桁程度が無難です) この仕掛けは、当日の参加者は直ぐ理解されたようでした。途中の指示を変更すれば、独自に様々な問題が作れます。(生年月日を当てる様々な数理マジックも、原理は文字式計算の応用です)

4. シェラザードの秘密
【現象】参加者に自由に三桁以下の数を記入してもらいます。それを7倍して、下から3桁だけを13倍、さらにその数の下から3桁だけを11倍してもらいます。すると最後の数は、最初の数が連続して並ぶ6桁の数になります!(最初がabcなら、最後はabcabc)

【準備】紙と筆記用具(計算の苦手な人には電卓も)

【展開】最初に掛ける数7はラッキーセブン、次はアンラッキーな数13です、と云いつつ、上記の言葉通りに進めて、最後の数字を確認してもらいます。最初に覚えた数が現れてビックリ!

【補足】①マジックをはじめるときに、千夜一夜のシェラザード姫(王に殺されないために千一夜の間、毎晩面白い話を語り続け、最後は王に気に入られて妃に迎えられた)の話を紹介すれば効果的かも。②そして、実は7×13×11=1001(千一)を掛けたために、最後の数がabcabcになったと告げれば、このマジックの仕掛けが了解されることでしょう。

5.九九グラフ
【現象】配布された用紙の円に、九九を唱えながら線分を記入していくと、各段に固有の異なる多角形や多角星が現れます。(美を愛でるシュタイナー学校で大切にされている教材です)

【準備】A4紙に10個の円を描き、その円周上に等間隔に点を記入して配布して、点のそばに0から9までの数字を記します。参加者にはカラー鉛筆と線引き用の定規を持参してもらいます。
【展開】①参加者は九九を唱えながら、移動した点から次に移動する点まで、カラー鉛筆で線分を描いていきます。九九の結果が10を超えると下1桁の数の点と結びます。3の段を例にとれば、最初は0と3、次は、3と6、6と9、9と2、2と5、5と8、8と1、1と4、4と7、7と0 と結んで10角星が現れます。(下図の上段右端)

1の段から9の段までの全九九グラフ

【補足】①紙に描いた円ではなく、等間間隔に10個の釘を打った木製の円盤とカラーの毛糸で九九グラフをつくって並べれば、美しい飾りになります。全ページの図は、1の段から9の段までの9つの九九グラフです。②九九グラフは釘の本数Aと段数Bで決まる模様なので、AとBを指定して、パソコンに模様を描かすことができます。上の九九グラフはパソコンで描いたものですと話して、「Aに生まれた西暦を、Bに生まれた月日を4桁の数で入力すれば、その人の誕生年月日に因んだ模様が描けます」とお話したら、挙手された方があり、その方固有の模様を描いて差し上げました。(誕生日の場合は、釘の本数が多くなり、手描きで描くのは困難です)③線分の代わりに、矢線(ベクトル)で記入すれば、九九グラフには、さらなる発見があります!

(注1)当日は、以上の5つのテーマに加えて、「カレンダーの秘密」、「交差する線分群の不思議」、「太陽とヒマワリ(増減する面積)」の3のテーマも紹介しました。
(注2) 以上の8つの「不思議」は、すべて学園のこどもも楽しんだことがあるテーマです。

最後に、参加されたみなさんに感想を書いていただきました。(部分的な抜粋で恐縮です)
・不思議だ!なぜそうなるのか?と考えるのがとても楽しかった
・とても楽しく学ぶことができました。数学はアートですね
・「不思議な時計」のとき、表と裏の角度がしっかりと認識できていなかったので上手くいかなかったようだ
・美と数のつながりがわかって楽しかった。美しい世界をありがとうございました
・久しぶりに考える時間がとれて楽しかった。次の機会が楽しみです
・単なる計算ではなく、このような授業が全国の小学校で体験できればよいなあと思いました
・最低限の基礎学力がなければ楽しめないという言葉が強く印象に残りました。型があるから型破り、教育も最低限の型が必要であり、それを身につけた上で次のステップと思います

<終わりに>
当日は、報告内容を欲張り、時間不足で駆け足的になりました。にもかかわらず、「楽しかった」、「美しい世界をありがとう」などの言葉をいただいて励まされました。なぜ、不思議なことが起きたか、説明が不十分だったと思われる項目は、各テーマの【補足】に補っておきました。

以上、【 M.M.】

 


次回のもりラボ企画は…
「カラダの観察会(ヒモトレ)~カラダと対話をしましょう~」

「ヒモトレ」とはカラダのバランスを整えるためのセルフコンディショニング。
ヒモに任せて動いたり、ヒモをゆるく巻いたりするだけで、自ずとちょうどいい!を感覚できます。
身体との対話をはじめませんか。カラダという自然の観察会。

日 時:2022年3月18日(金) 16:00~18:00
場 所:箕面こどもの森学園
箕面市小野原西6-15-31(最寄り駅:阪急北千里)
参加費:1000円
定 員:20名
講 師:廣田景一さん(支援学校教員)
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