Manabeeプログラム『共に生きる~獣害って知ってる?~』を実施しました

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私たちManabeeチームEは、『共に生きる~獣害って知ってる?~』をテーマに、中学部でプログラムを実施しました。今回参加してくれたのは6名の中学生の皆さんです。 目指すゴールは「獣害を通して”人間はこの地球でどう生きるのか”を考える」ということ。 進行役はRさん。 みんなで自己紹介のあと、子どもたちがこれまで取り組んできた「農」のプロジェクトについて、オンライン参加のY(これを書いている私です)から軽く質問。そこから獣害の話につなげます。

ジャジャーン‼ 獣害クイズ‼‼(テンションMAX) 出題はEさんとMさんから。Mさんはこの後とってもチャーミングなグラレコも書いてくれて大活躍でした。 「獣害ってどんな害があるの?」「被害額はいくらぐらい?」などなど…被害総額がおよそ200億円であることにみんなびっくり。 子どもたちが興味を持ってくれるように盛り上げつつ、「獣害はなぜ起きるのか?」「日本における外来種はどれ?」など、獣害について深めていきます。

そしてここからは、メンバーの一人で役場職員Eさんの体験談を、Bさんからのインタビュー形式で聞きます。 Eさんは、今年度は獣害を担当している部署になりました。 あるときついに、捕獲したアライグマの殺処分に行くように命じられてしまいます。 (補足ですが、殺処分は麻酔をかけたうえで獣医師が行います。獣医さんが言うには、眠っている状態だから苦痛はないはずだ、とのこと) Eさんは悩みます。 これは仕事、でも害獣とはいえ動物を殺すなんていやだ……いっそ逃がしてしまおうか…… そのときの心の葛藤を告白するEさん。 Bさんは、Eさんの複雑な気持ちに共感を寄せながら、言葉を引き出していきます。 事前に内容を熟知している私たちメンバーも、思わず引き込まれてしまいます。 子どもたちも、それぞれ思いを巡らせているようです。

ここでBさんから子どもたちに質問。「みんなだったらどう?」 いったん、今の時点での気持ちを聞いて、さらにEさんの話が続きます。 実は、私はある人の話を聞いて、腑に落ちたんよ。女猟師さんの言葉だったんやけどね… 「アライグマは強い生き物。それを放置したら、ほかのもっと弱い、小さな生き物が生きられなくなる」って。 アライグマの数を減らすことが、弱い生き物を生かすことにつながっている。それを聞いて、私は納得できた……。 もう一度、子どもたちに問いかけます。 「今の話を聞いて、どう? みんなならどうする?」 意見が変わった人、変わらない人。よく分からないという人。 「なんでそう思ったんかな?」 答えも表現方法もひとりひとり違います。積極的に話す人、黙ってしまう人、難しいなぁという人。でもみんな真剣で、さまざまに心が動いているのが伝わってきます。

ここで休憩。 休憩中も、片隅で対話が続いています。 一方で、なかなか言葉が出なかった人に、やわらかく寄り添う進行役のRさんの姿も。

休憩明け、再びEさんから。 殺処分が終わった後、自分の気持ちが、意外に普通だった。 なぜだろう……? そう考えて、普段の自分のあり方を思った。 日頃から環境問題に関心を持って、地球にやさしい生活を、と思っていても、現実には日常生活に流され、いろいろと理由をつくって実践していない自分……。

最後の問いです。 「地球上の多様な生き物と共に生きるためには」 みんなでどうしよう? 今の気持ちや感じたことをアウトプットする時間をとり、それをシェアして終わりました。

子どもたちの言葉からいくつかを紹介します。 「難しい。考えさせられた。でも、アライグマについてはそもそも人間が持ち込んだもの。責任は取らないといけないと思う。」 「駆除は仕方ないとしても、処分の方法を考えたい。モノみたいに扱うのはどうかと思う。命の尊厳みたいなこと。」 「そもそも体験したことじゃないからよく分からない。」 「外来種の悪い影響ばかりに目がいくけれど、いい影響も考えたい。」 この時間が小さなタネとなって、参加してくれたみんなの心の中で育っていってくれたら嬉しいな、と思います。 私たちメンバーにとって、この体験は大きな学びとなりました。一緒にひとときを過ごしてくれた子どもたちはもちろん、関わってくれたすべての方に、心から感謝いたします。 (Y)