【卒業生インタビュー⑪】自分らしく楽しく ~高校生 こうきさん~

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こどもの森ですごした人たちは今・・・

こどもの森ですごした人たちは今・・・ こどもの森卒業生インタビュープロジェクト第11弾は、現在、高校3年生のこうきさんにお話を伺いました。

*本記事は、卒業生の語りをなるべく忠実に伝えることを大切にしています。そのため、成長の途上にある姿や、まだ言葉になりきらない思いも含めて、等身大の今をそのまま受け止めながら記録しています。

こうきさんプロフィール

  • 2007年生まれ、18歳 高校3年生(2025年9月現在)
  • こどもの森在籍期間:中1〜中3(2020-2023)
  • 今の自分を生き方を表す言葉:「自分らしく楽しい人生」

 

料理は好き。でも、もっと“自分らしい未来”を考える

ーー高校はどちらに行かれてるんでしたっけ?

調理について専門的に学べる私立高校に通っています。

ーーそうなんですね。プロの調理師を目指してるんですか?

と思ってましたけど、入ってから、なんかあんま合わないなって思って、調理は。だから、今は、家庭で作ってちょっと楽しむ趣味程度でいいかなって。この学校を選んだときは、こどもの森のプロジェクトとかでよく料理をしていて、結構料理が好きなんで、それで調理師になるのとかいいなと思って入ったんです。でも、 仕事にしたらまた違うなって思って。

ーーそうなんですね。じゃあ、学校で習ってはいるけれども、それを仕事にするんじゃなくて、プライベートで楽しんでいこうみたいな感じなんですかね、今は。

そうですね。来年卒業で、この先っていうのはぼんやりとは考えていて。商品開発の方とか。話し合いとか、「作る」ということが好きなんで、商品を作るっていうことを考えています。

ーーそれは、進学して?就職して?

大学進学を考えています。

ーーそうなんですね。じゃあ、今とても忙しい感じですか。

学校が調理科なんで、調理のことに関してすごく予定が詰まりまくってて、それでちょっと大変です。

ーーどうやって勉強の時間を確保してるんですか?

受験したいんですけど、勉強する時間がなかなか確保できなくて。推薦で行こうかなと思ってます。

ーー「今の自分の生き方を表す言葉」とか、なんか思いつきますか?

「自分らしく楽しい人生」ですかね

ーーいいですね。今聞いていても、興味関心でそこに入って、また違うなと思って、自分で考えてまた進路を変えていくっていうのも自分らしさの追求かなって思います。

そうですね。

悩みながらも自分に向き合い続けた高校生活

ーー今の気持ちの方を聞いていきたいなと思うんですけど、どんな風にどんな気持ちで今過ごしていますか?

今は、なんか、人間関係のトラブルとか。こどもの森に比べたら、やっぱり人や環境がすごく変わって、トラブルがめちゃくちゃ多くなって。結構今も苦しいこともあるんですけど、それでちょっと頑張ったりしてますね。

ーーそうなんですね。そこはもうちょっと詳しく聞いてみても大丈夫?

大丈夫です。こどもの森は、対等にスタッフと話したり、上も下も関係ない感じで、壁がなかったイメージで。自由に話したり、でも、気を遣うところは気を遣うし、っていう感じで、めっちゃ楽しかったんですけど、高校は、先生は先生で、壁があるって思ったり、ちゃんと話されへんなぁと思って。それは、高校に入って1年生の時から苦労したところかな。結構大変です。グループの人間関係とか、陰口があったり、裏では仲が悪かったりとか。

ーーそういう時、こうきさんには内面的な葛藤がありそうですね・・・

人を変えることはできないんで、自分を変えるしかないなと思って。自分が悪いところとか聞いたり、自分がそう思ったところは極力直すっていうことをしていって、もうあとは話し合うしかないなぁと思って。クラス全体で3年生になってから話し合いを始めました。それで、ちょっとましになって、今までの3年間はめっちゃしんどかったし、学校を辞めようかなと思ったこともあったけど、あと半年はがんばれるかなって思います。

ーー学校を辞めたいなと思ったときに、こうきさんが続けられたのは何があったから?

そもそも、たぶん自分は忍耐強い人なんかなと。適応するのも早くて、悪く言ったら周りに染まりやすいんかなとか思ったり。あと、ここまできたら続けたいみたいな。負けず嫌いな性格なんで。それで、続けてますね。

ーーそこはこうきさんのかけがえのない強みかもしれないですね。じゃあ、その時期を乗り越えて、今高校3年生になって、あと半年頑張ろうってなってるんですね。

対等な関係と対話の中で、自分らしく挑戦できた日々

ーーさっき、ちょっとこどもの森の話がね出てきたので聞いていきたいなと思うんですけど、「こどもの森では対等に話したり」とかおっしゃっていたけど、こどもの森で印象に残ってることとか、好きだったところを教えてもらってもいいですか

集会とかが好きでした。当時、やっている時は「当たり前」やったし、正直、もうめんどうくさいなっていう時もあったんですけど、今思ったらやっぱりいい時間やったなって。別の学校に行ったら、全然環境が違って、そういう時間もないし。あの(集会の)時間を普通の学校でも作ったら、もっと雰囲気が良くなるんじゃないかと思ったります。

ーーそうなんですね。(学園の多数決をしないというルールの)話し合いの中で、どういうふうに合意形成というか、うまくまとめていったのかな

大変でしたけど、みんな人が良かったなと思います。たぶん、ある意味、自分勝手なんですよ。でも、周りの人たちがお互いに認め合ってうまく回していってくれてたかなと思います。

ーー特に思い出に残ってることとかありますか?印象的だった話し合いとか

中学3年生の時、研修旅行で行ったベトナムで、向こうの学校の子たちと交流するときの司会を友達と二人でやったんですけど、何する?とか、こうしたらうまくいきそうやね、とか日本の文化とか取り入れてもいいよね、とか、言語も違うし、身振り手振りでしたりして、あの時のことは印象に残ってますね、めっちゃ。

ーーこうきさんはこどもの森の中学部に来る前はどういう学校に言っていたんですか?

小学校6年から鹿児島のオルタナティブスクールの楠学園(森の学校楠学園)に行ってました。公立の小学校に馴染めなくて、楽しくないなぁ、とか、なんで行っているんやろと思っていて。親がこんな学校あるよと言ってくれて、体験に行ったらめっちゃ楽しくて。

ーー鹿児島は家族で?一人で?

一人です。親元を離れて一人で行くのは、最初は寂しかったんですけど、行ったら楽しすぎて。山の上で、自然の中の学校で、山を下りるのも極々たまにで。とにかく、遊ぶ、冒険するみたいな感じでのびのびと過ごしました。

ーーその一年があって、その後中学をこどもの森を選ばれたのはどういう理由ですか?

そもそも、もう普通の学校ではなく、こういうオルタナティブスクール的なところに行きたいと思って、それで探してもらいました。そうしたら、「こういうとこあるよ」ということで体験に行ったら、こどもの森もめっちゃ楽しくて。

ーー何がすごく楽しかったんですか?

人ですね。もう、みんなが自分らしく生き生きしてて。なんか、学校てこんなに生き生きしてる人たちいるんやと思って、ここやったらいいなと思いました。

ーー人が一番のポイントだったんですね。では、その中学部でのことをもう少し聞きたいんですが、さっき、ふりかえると集会が楽しかったっておっしゃってたけど、他になんか印象に残っていることってありますか?

自分はものづくりが好きで、プロジェクトとかで机とか椅子とか本棚とかも作りました。

ーープロジェクトは、一人一人が自分のやりたいことに、思い思いに取り組む時間で、これもこどもの森の特徴ですよね。

ーーさっきも少し話が出てたけど、スタッフとの関係はどうでした?

なんか、自分と一緒の立場になってくれて考えてくれたり、ここはこうしたらいいんじゃないかとかちゃんと言ってくれるのは本当によかったです。こどもの森のスタッフは、なんか、横にいてくれる感じ。一緒に考えてくれる、みたいなそんな感じがします。

「自分らしく、楽しく生きたい」

6月に一人でオランダに行ったんです。自転車でオランダを回るツアーに行きました。9日間のツアーで、自転車で4泊5日、400kmくらい走って。

ーーへー!一人で!実際に行こうって決心するのってなかなか勇気が要りますよね。

両親から行ってみたら?って言われて。海外とかめっちゃ行きたかったのもあるし、将来のことが何も決まってなかったし、なんか考える時間になるかなと思って。

ーーそれでなにか気づきとかありました?

オランダでは考え方とか文化とか全然違うなと思って。なんか、いろいろ自由でしたね。何に関しても。日本に帰ってきたら、なんか狭苦しいなと思いました。建物も道も考え方とかも。日本は細かいことをめっちゃ気にしたり、なんか面倒くさいと感じることがありますね。

ーーオランダの人のどういうところが自由なんですか?

他人に気を遣わない人が多いですね。ある意味、自己中心的というか。あまり人に気を遣って考えを変えるとかがないって感じです。それで、自分は人に気を遣いすぎてたなとか、もっと自分を大事にしようと思いました。

ーーこの9日間でパワーを得られたんやろうなっていう感じがします。進路を考える上で何かきっかけになったりしましたか?

人に関わることが課題でもあるんですけど、それで具体的に心理学とかを学ぶのも面白いんかなと思いました。あと、「話せる」っていいなと思いました。英語でしたが、オランダの人たちと話が通じた時、めっちゃ嬉しくて。それで、日本に帰ってきて感動しました。あたりまえに話せること、言葉が通じることに。

ーーいろいろと話を聞かせていただきましたが、こうきさん、これからどんな風に自分の人生をデザインしていきたいですか?

今まで、テーマ学習のテーマを決めるのも遅かったし、進路を決めるのも遅かったりしましたが、やっぱり自分がちゃんと心からやりたいことを見つけたいですね。ここまで中途半端やったかなという気がするんで。そういうものを今から見つけていきたいです。

ーー今日インタビューしていて思いましたが、これまで決めるのが遅かったっておっしゃってましたけど、こうきさんは人一倍自分の心の声を聞きたい人なのかもしれないですね。

そうですね。本当に自分らしく、楽しく生きたいなと思います。大学へ行っても、就職をしても。

ーー最後に、今あらためて振り返って、こどもの森の経験が今の自分にどういう影響を与えていますか?

今振り返ったら、自分の性格とかに一番影響されたのはやっぱりコクレオやなと思います。以前は全然、挑戦しないでおこうとか、中途半端で「これくらいでいいやろ」みたいなところもあったんですが、コクレオでやり切ることの楽しさを学び、失敗してもそれも経験として今につながってきているので、挑戦することは本当に大事だなと思います。たぶん、コクレオに行ってなかったら、挑戦にもビビったり、緊張したりして、踏み出せていなかったと思うし、話すのも、今も苦手やけど、もっと苦手なままで、いろんな人と関わっていこうとかも思ってなかったかもです。

ーーそうなんですね。コクレオには一体何があったからチャレンジできたんだと思いますか?

チャレンジしやすい環境があったと思いますね。W.O.(※ W.O=ワールドオリエンテーション。中学部で取り組む総合学習の一つ)とかプロジェクトとか、自分が好きなことを見つける時間がいっぱいあって、自由に挑戦できる、自分のしたいことをするっていう時間があったんで、それが経験になったと思います。

ーー周りの子もそんな感じやったんかな?

友達の中にも尊敬できる人がいっぱいいて、あの時は楽しかったです。自分がしたいことを実現する行動力とか、みんなすごいなと思いましたね。あんなに自分のしたいことをはっきり行ったり、表現して実行に移すっていうのが、なんかいいなと思いました。

ーー今日はいろいろと聞かせていただいて、本当にありがとうございました。

インタビューを終えて・・・

今回はまだ卒業して2年と少したったところの高校3年生こうきさんにインタビューさせていただきました。「話すのが苦手・・・」とおっしゃっていましたが、とても素直に自分の今を言葉にされていたのが印象的でした。自分のことも、周りのことも、まっすぐな目で見つめているこうきさん。その様子から、これから歩んでいく道のりがどんなふうに彩られていくのか、私自身もとても楽しみな気持ちになりました。

こうきさん、本当にありがとうございました!また、ぜひ体育祭など、学校に遊びに来てくださいね~