「子どもを信じましょう」の意味
「子どもを信じましょう」
「信じて待ちましょう」
子育てや教育の場でよく言われる言葉ですが、
ではいったい、子どもの「何」を信じようと言っているのだと思いますか?
実は、その「何」をしっかり意識していないと、
むしろ信じることが子どもの自己肯定感を損ないかねないのです。
5月の子育てカフェ&BARでは、そのことをテーマに、参加者のみなさんと対話しながら
「子どもを信じること」について深く考えていきました。

まずはハッピータイムからスタート。 ハッピータイムはこどもの森で毎朝行っている、一人ひとりが言いたいことを話し、聴きあう時間。 子育てカフェ&BARではチェックイン代わりにやっています。

子育てBARではまず乾杯からスタート🍷
「あなたを信じているよ」と言いたくなる場面
まずいくつか問を立て、それについてひとつずつ考えていきました。
問い①「ママ、あなたのこと信じてるよ」と言いたくなるのは、どんな時?
みなさんから次々と意見が出てきました。
・励ましたい時
・約束した時
・きっといつかやると信じてるよとっプレッシャーをかけたい時
・裏切られたくない時や、疑惑がある時
これらはざっくりまとめると
「子どもが対象となることをできるようになると、期待している時」
と言えそうですね。
次の問いはこれです。
問い②子どものことを信じたいのに、信じられない時は、どんな時?
・嘘をつかれてそうと思う時
・普段やらないことを「やる」と言ってきた時
・子どもに期待して、でもやってないということが繰り返しあった時
子育てしていると、こういう気持ちになる時ありますよね。
すごくよくわかります。
さあ、そこで次の問いです。
問い③多くの親は「子どもを信じる」という時、子どもの何を信じているのでしょうか?
これまでの2つの問いに対する思いの中から浮かび上がってくるもの、
それは、
・子どもの行動が変わること
・子どもの能力が高まること
ではないでしょうか。
そこに次の条件が加わります。
「親の期待通りに」
そう。
つまりわたしたち多くの親は「子どもを信じる」というときに、
子どもが親の期待通りの行動をし、子どもができるようになるという状態を
信じる対象としているのです。
「やればできる」という言葉に隠されたメッセージとは
このように、子どもの行動や能力に注目し、そこが変わることを期待しているわたしたち。
それは実は、子どもの表面的なところだけに目が行っていると言えます。
行動が変わったり能力がつくことは、目に見えるので、どうしてもそうなりがちです。
目に見える結果を期待しているのです。
「やればできる」
と子どもに向かって言うことって多いと思いますが、
「やれば(行動)できる(能力)」
まさに、行動と能力の変化を期待している言葉ですね。
一方で、
目に見えないもの、子どもの「存在」そのものを信じることもできます。
それは、「失敗しても大丈夫」と、子どものいのちの力、生命力そのものを信じるということ。
存在そのものの持つ力を信じているとは、表面的なところに囚われていないということです。
親の期待を手放した状態と言えるでしょう。
ここで再び問いです。
問い④「やればできる」と言う時、無意識に親の中で起きている思いとは、どんなものでしょう?
この言葉を言っている時、親の中に湧き起こる考えは
・もっとこうするべき
・もっとこうなるべき
・そうでないとこの先この子は自立できない
という、不安や恐れからくるものがあるのではないでしょうか。
そしてそれは
「今のあなたではダメ」
という裏メッセージとなり、子どもに伝わっていくのです。
そして子どもは
「今の自分ではダメなんだ」と、自己肯定感を下げてしまうことになります。
これが「やればできる」の落とし穴です。
子どもの「存在(Being)」を信じましょう
子どもの「存在」そのものを信じてみましょう。
そこには、
「どんなあなたでも、そのままで大丈夫」
「今のあなたでいいんだよ」
という肯定のメッセージがあります。
ですから、子どもの自己肯定感が育まれていきます。
「存在」を信じるとは、「いのちを信じる」ということ。
子どもが秘めている可能性に目を向け、
子どもが生まれながらに持っている生きる力を信じるということ。
子どもはみんな、その子オリジナルの種を持って生まれてきています。
その種がどんな花を咲かせ、どんな実をならすのかを楽しみにしながら、
親は自分にできること(水をやったりお日さまに当てたり)をするだけ。
ポイントは
「きっと大輪の美しい花を咲かせるに違いない」
といった「期待」を手放すということ。
どんな花であってもその子の花は美しいのです。
さらには、もしかしたら花も実もつけない、大きな木となるかもしれません。
それでいいのです。
それがその子の種に内在しているものだから。
わたしたちおとなにもわからない、その子オリジナルの姿が
どんな姿なのかを楽しみに、子育てできると幸せですね。
後半は「子どものBeingを信じる」というテーマで、参加者同士でおしゃべりタイムでした。
以下、参加者のみなさんの気づきのシェアです。
・どんな花が咲くのか、どんな木になるのか楽しみになりました。
・子育てカフェに参加しているうちに、だんだん自分も変わってきました。2年前の自分にはわからなかったことが、今わかるようになりました。
・子どもとの約束事をことごとく破られることが多いので、どうせまた破られるのだろうなという思いが心にあったけれど、でもそうではなくて、約束守らないこともすべてどっしりした気持ちで見守っていけばいいのかなと思いました。
・「この子は大丈夫」とある時から思えるようになって、それが子どもの存在を信じているんだと今日の話の中で気づいて、安心しました。
・今起きている事象すべてが自分自身の経験につながっているなと。子ども自身の可能性を信じるための過程でもあるし、自分自身の人生にもつながっていると改めて実感しました。

みなさんと「信じる」ポーズで♡

こちらも「信じる」ポーズで🍀
次回は
「第3回 自分も人も大切にする『境界線』の引き方」
相手との間に境界線を引くことは決して冷たいことではなく、むしろ子どもを尊重することそのもの。
担当はとしこさんです。お楽しみに!
6/7(土)10:00-子育てカフェ
6/19(木)20:00-子育てBAR
詳細は以下をご覧ください。
(A.M)
わたしを生きる*子育てカフェ&BAR
~子どもと一緒に育っていこう~
子育てカフェ&BARが一新!
How toよりも、あり方を深めることに特化していきます。
いよいよ2025年度からはより「自分自身」を深めていくフェーズに入っていきます。なぜ子どもではなく「自分自身」なのか。それは、わたしたち親自身が自分を受容し、あるがままの自分でいいんだと思えていることが重要だからです。自分の凸凹をゆるし、受け入れ、愛することはそのまま子どもをゆるし、受け入れ、愛することにつながります。子どもの自己肯定感を育むためには、わたしたち自身の自己肯定感が大事なのです。こうすれば自己肯定感が育まれます、というHow toは実は表面的なこと。もちろん必要なことではありますが、それ以上にその根っことなる「あり方」が大事なのです。
わたしを生きる人が増えていきますように。
そんな想いで引き続き続けていきます。ぜひご一緒してください。
シーズン1「尊重とつながり」
第1回 Being,Doing,Having
第2回 子どもの何を信じるのか
第3回 自分も人も大切にする「境界線」の引き方
第4回 家族システムという捉え方
シーズン2「現実は内面の投影」(以下、仮タイトルです)
第1回 対話
第2回 反応
第3回 パートナーシップ
第4回 投影
シーズン3「自己受容」
第1回 他者からの承認
第2回 自己承認
第3回 不完全を受け入れる
日 程:
子育てカフェ(土曜の昼)10:00-12:15
シーズン1 ①4/12 ②5/10 ③6/7 ④7/12
シーズン2 ①9/6 ②10/11 ③11/8 ④12/13
シーズン3 ①1/10 ②2/14 ③3/14
子育てBAR(木曜の夜) 20:00-22:00
シーズン1 ①4/17 ②5/15 ③6/19 ④7/17
シーズン2 ①9/18 ②10/16 ③11/13 ④12/18
シーズン3 ①1/15 ②2/19 ③3/19
詳細&お申込みはこちらから。
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