もりラボ企画「おとな哲学カフェ」第4回
前年度開催し、ご好評をいただいておりました、もりラボ企画「おとな哲学カフェ」。今年も第4回を開催しました!
今回は、ズバリ「学力って何?」というテーマです。
とりわけ義務教育課程では、「基礎学力をつける」ことが学校の使命のように語られることが多いですが、果たして、「基礎学力」とは何か。誰が決めたのか。本当に役立つのか。学力が高い人の方が優れているのか。…とはいえ、読み書き計算は、やっぱりできた方がいいのでは…。
ということで、この問いのもとに集まった皆さんと、たっぷり対話しました~!
まずは哲学対話の説明から
難しいことではなく、自分の言葉で、一人一人が考えていることを真ん中のテーブル(架空のテーブル)に置いていくこと。
誰かの考えていることと180度違う意見でも、そのボールはテーブルに置かれるだけで、相手に投げつけるものではないし、自分に投げつけられることはないということ。
テーブルの上にある景色が、対話が深まるとともに姿を変えていくということ。
そのような説明をします。
初めて「哲学対話」に参加する、という方も多くいましたし、ご自身で哲学対話の場をすでに開かれている方もご参加いただきました。
いよいよ対話がスタート
安心して対話を楽しんでいただけるように、グラウンドルールを確認してから3グループにわかれて対話がスタート!
今回は、いつものルールに足して、「『人それぞれ』で諦めない」というルールも付け加えました。
問いがホットだったのか、対話もつきることなく、哲学カフェ的には大盛り上がりと呼んでもいいような熱量となりました。
どんな話になったかというと…
一つのグループの中で話し合われたことを少しだけ。
「学力からイメージされるのは、勉強とか成績、教科書、四則演算、読み書き」
「受験・学歴のための学力と、基礎学力とある」
「基礎学力がないと、困るのだろうか?」
「いい大学にいって、いい就職して、世の中の枠組みに乗りやすくなるけれど、それって本当に幸せかどうか疑問に思う。」
「本当にやりたいものができた時に、根底から支える力になるのではないか。」
「表現する。世界が広がる。物の見方が変わる。できる事が増える。」
ー学力は「自由になるための道具」でもあると思っている。
「タイミングや得意不得意、個人差も大きいよね。」
「やらなければならない、と言われて学ぶのと、本人が納得して学ぶのと、矢印の向きで、大きく違いがあるんじゃないか。」
……
そのような話になりました。
他のチームの話し合いも盛り上がったようです。
ふりかえりタイム
そして最後は各グループの話を少しだけシェアしあって、ふりかえりの時間です。
ーー自分が「学力」という言葉で感じる葛藤は、社会の要請と、自分が望んでやることの齟齬にあるんだ、ということがわかった。 そのことを理解できたことが良かった。
ーー学力は人が自由に生きることを支える諸所の力。と考えるに至って、おもしろかった。
ーー私が考える学力は「普遍的で集団的な知性」で、知的好奇心とか、人が本能的に持っているもので、個人のためというよりは、みんなでシェアしあうものなのではないか。
ーー基礎学力をつけていないことで、将来子どもが困るのではないか、そこに親の責任という考えが浮かぶ。けれど、『親の責任って何だろう?』『そもそも、責任ってなに?』『責任なんてとれるのか?』という考えもめぐってくる。」
ーーこの「哲学対話」では、日頃考えることのないテーマでの話合いで、大変良かったと思います。ぜひ今後とも続けてください。
などなど…
学力が「カラフル」なイメージになるためには…
あるグループから出た、学力のイメージは、固くて、冷たくて、コンクリートみたいな重い感じ …との意見。
皆さんのふりかえりを聞きながら、さて、どうしてそうなるのだろうか、と考えました。
やりたくないのに、無理やりやらせられたり
競争させられたり、比べられたり、脅されたり
焦ったり、苦しかったり
そんな経験が、学力のイメージを暗く冷たくしているのかもしれない。
「おもしろい、もっと知りたい、できるようになったら嬉しい、今度はあれが知りたい」という本来、本能的に持っている「学ぶ力」を素直に伸ばすことができたなら…
それはきっともっとカラフルで明るいイメージになるのではないでしょうか。
私はこどもの森学園で教育スタッフをしているので、そのイメージを形にしていけるように、また毎日やっていきたいなあと考えました。
世の中の「学力」がカラフルなものになる日が来たら、いいのになあと妄想して、ブログを閉じます。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
企画メンバー 有多香
第5回もやります
次回は3月8日(2025年)。テーマはちょっと大きく「家族と責任」です。
当日に皆さんと思っていることを出し合って、「問いづくり」をするところからスタートしたいと思います。ぜひご参加ください♪
https://peatix.com/event/4298664