箕面こどもの森学園では、子どもの自己肯定感を育むことを、とても大事にしています。
そんな心の土台となる「自己肯定感」の育み方を、
いろんな角度でお伝えしている子育てカフェ&BAR。
6月は、「子どもの話を聴こう!」というタイトルで、
話を聴くことで子どもの自己肯定感が育まれますよ、
ということを、知識と体験両方で学んでいただく回となりました。
聴かれない体験をしてみよう
みなさんは普段、どんなふうに子どもの話を聴いていますか?
子どもってこちらが家事をしていたり、用事をしている時に限って
話しかけてくることってありますよね。
そこで今回は、まず「聴かれない体験」をしていただくことにしました。
ペアになって、片方が話をする人、もう一人はスマホをいじりながら聞く人。
これ、実際にやってみると、
スマホいじりしながら聞く側は話を聴いているつもりなのですが、
話をした側はなんだか聞いてもらってない感じを受けるのです。
「嬉しかったことを話しているのに、嬉しくなくなってしまった」
「話しづらい・・・」
ワーク後の参加者の方の感想です。
これが、普段子どもが感じている気持ちなのです。
自己肯定感を育む聴き方とは。
では、子どもが「聴いてもらえた」「もっと話したい!」と感じるような聴き方とは
どんなものでしょうか?
子育てカフェではそれを「自己肯定感を育む聴き方」と名付け、
レベル1~5段階に分けて解説しています。
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◇レベル1 黙る
◇レベル2 「ふうん、そっかー」とあいづちを打つ
◇レベル3 「へえ、それで?」と話をうながす
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レベル1。これが意外と難しい。
わたしたちって、普段、人の話を聴いてるつもりで、気が付くと自分がしゃべっていませんか?
当たり前なんですが、しゃべっている時って聞けてないのです。
ですので、まずは「黙る」
ここからスタートです。
レベル2、レベル3は、わりとみなさん普段から無意識にされていることです。
「この人の話を聴こう」と思っていたら、勝手にあいづちを打ったり、
「それで?」と話をうながしたりするものです。
聞く気さえあれば、誰だって人の話を聴くことができるのです。
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レベル4 子どもの言葉をそのまま繰り返す
レベル5 子どもの気持ちをくみ取り、伝える
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ここからが、ちょっとしたワザとなります。
レベル4は、子どもの言ったことをそのままオウム返しするというワザ。
人って、相手から自分の言った言葉をそのまま返してもらうだけで、聴いてもらえた気持ちになるのです。
子「オレが先にプリントをもらおうとしてたのに、あいつが横取りしてきて、むっちゃ腹が立ってん!」
親「横取りされて、むっちゃ腹が立ったんやね」
子「そう!」
レベル5は、さらに深く話を聴くワザ。
相手の気持ちをくみ取って、言葉にして伝えます。
子「オレが先にプリントをもらおうとしてたのに、あいつが横取りしてきて、むっちゃ腹が立ってん!」
親「横取りされて、悔しかったんやね」
子「そう!」
これは、親がまるで自分が鏡になったかのように、
子どもの言ったことや気持ちをそのまま映し出すような聴き方なので、
「反映的な聞き方」と言われます。
また、子どもの話を積極的に聞こうとする聴き方なので、
「能動的な聞き方」とも言われます。
この聴き方をすることで、
子どもは「自分は話を聴いてもらえる価値があるんだ」と感じます。
話を共感的に聴いてもらうことは、自分をまるごと受け止めてもらえる体験なのです。
だから、自己肯定感が育まれるのです。
自分の考えをいったん横に置いて、
子どもの話を聴きましょう。
しかし、実際のところわたしたちは
子どもが何か言った時、すぐに頭の中にいろんな考えが浮かんできますよね。
そして、すぐにそのことを言いたくなってしまいます。
例えば、子どもが朝、玄関先で「学校に行きたくない」とつぶやいたら・・・
その瞬間浮かんでくるのは、
(えっ、ちょっと行ってもらわんと困るんやけど)
(わたしだって仕事があるのに)
(学校には行くものや。休むなんて言語道断)
(このまま不登校になったらどうしよう)
などなど・・・
一気にいろんな思いが浮かび上がり、頭の中は自分の考えでいっぱいに。
そうなると、もう話が聴けてない状態になります。
子どもの話を聴くために、自分の考えはいったん横に置きましょう。
以上のことを踏まえて、講座では参加者のみなさんに
「聴くワーク」をしていただきました。
先ほどは「聴かれない体験」でしたが、
今度は「自己肯定感を育む聴き方」を使って、相手の話を受け止めながら聴く練習です。
実際にやってみて、普段の自分の聞き方との違いを体感していただくことができました。
「聴く」ことの可能性
さらに、この聴き方をすることで、子どもの自己肯定感を育むだけでなく、
子どもが自分の問題を自分で解決することさえできるのです。
もちろんすべてそうなるわけではありませんが、
親が鏡になったように子どもを映し出すことにより、
子どもは自分のことを客観的にとらえられやすくなり、
ただ、話を聴いているだけで、子どもが勝手に問題解決してしまうことも
じゅうぶん起きうるのです。
また、「問題を抱えた人の援助の方法」という手法があるのですが、
ここでもこの「自己肯定感を育む聴き方」を使って、子どもの問題解決のサポートをします。
「問題を抱えた人の援助の方法」は、7段階のプロセスがあるのですが、
ここではその具体的な方法は割愛します。
箕面こどもの森学園で子どもたちが集会で使っている話し合いの方法と、とてもよく似た手順を経ます。
参加者のみなさんの気づきと感想
・落ち込んでいる子どもに「こうしたらいいよ」とか、わたしが提案しなくても、ただ「聴く」だけで子どもは自分で上がってくるんだと気づきました。
・自分のゆとりがある時とない時で振り幅があり、傍観者になってみたり、子どもの立場になって話をしてみたりするときと、「もううるさいな」となってしまう時がある。その幅が小さくなっていくと、子どもたちの自己肯定感も安定していくといいなと思いました。
・学童の子どもたちが「死ね」「クソ」「ババア」など、簡単な言葉で「もういい」とか返ってくる。なんで自分の気持ちの言葉をいわないんだろう、刺されるような言葉しか言わないのはなんでだろうと思っていたけれど、ああこれは聴いてもらえてないし、自分の心を見つめる時間もないんだなとわかりました。聴き方をかえなきゃな、と思いました。
・聞かれない体験と聴いてもらう体験、両方やってみて、やっぱり話し手の話し方が全然違ったんですよね。親がいい反応をして聞いてあげると、子どもはたくさん話してくれるんだろうなと思いました。
次回はお話会☕
子どもの自己肯定感の育み方について、日常のお悩みや疑問などをざっくばらんに語り合いましょう。
とても具体的で実践的なアドバイスもできるかと思います。
ぜひご参加ください。
(あゆ)
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土曜のお昼は、リアル開催の子育てカフェ。
木曜の夜は、オンライン開催の子育てBAR。
お好きな方にご参加ください。
シーズン1「子どもの自己肯定感を育む」
第1回 子育てていちばん大切なこと(終了しました)
第2回 甘えと甘やかしの違い(終了しました)
第3回 子どもの話を聞こう(終了しました)
第4回 ○お話会○自己肯定感の育み方
詳細はこちら
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