「多数決って民主的?」2022年Manabeeプログラム③

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箕面こどもの森学園の教育エッセンスを学び、体験するManabeeプログラムの第3回「多数決って民主的?」が7月16日(土)に開催されました。

今回の学びのエッセンスは『対話』です。

 

約30名近くの参加者がリアル3チーム、オンライン3チームに分かれ、まず、グループごとにハッピータイム。その日の気分、自分の中に今あることをシェアし合い、聴き合う時間は、短時間であってもお互いを知る豊かな時間です。

お互いの様子や気配を感じ合ったところで、講座『対話』が始まりました。

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私たちはいろんな人がいて、いろんな人と生きています。

うまくいくときもあるけれど、意見が対立したり、自分の自由が相手の自由を侵害してしまう場合も。

誰もが「自分が生きたいように、(自分を)生きたい」と思っている。それは私だけでなく、相手もそう。私たちは、自由な一人ひとりの集まりです。

そんな私たちが、お互いの自由を承認し、民主的に生きるには…

 

『対話』です!

 

では『対話』とは…?

 

意見や考え方の違う人たちが、それぞれの思いを出し合って共に探求すること。

議論でもディベートでもない。また、とりとめもない会話とも違います。

100人いたら100通りの見方、考え方があり、一人ひとりが自分の見方で見ているという前提のもと、自分の意見を伝えること、相手の意見を聴くこと。お互いに聴き合う。

 

そのためには、自分の意見をひとまず横に置いてみたり、答えがすぐに出ない場合は保留する、という選択肢をもつ。

 

自分の見ている視点、見えている視界は、もしかしたら四角いサイコロの一面に過ぎないかもしれません。

自分自身の姿も全体の様子も俯瞰してみると、思い込みに気付くこともあります。

立場や見方から自由になり、ゴールすらも手放しながら対話を進めていきます。

 

では、「対話のある学びの場」とは?

 

学びの場における『対話』とは、まずコーディネーター(大人)と学習者(子ども)が対等であること。話し合いながら学びを進めます。目的を共有して、ゴールを共につくっていきます。

 

では、「対話のある学びの場」におけるコーディネーターの役割とは?

 

何よりも、コーディネーター自身が普段から自分を見つめ、自分との対話を行い、学び続けていること。

そして、コーディネーター自身が自己肯定感を育み、自己決定できること。そう在ること。

学びの場にいる全員が対等で、信頼し合い、安心していられるような関係性を築くこと。

全体を俯瞰し、適切な働きかけをして対話を進めること。

 

多数決によらなくても、対話を進めることで、皆にとって納得できるアイディアが浮かび上がってくることがあるんです。

「浮揚面(ふようめん)」です。

多数決ではなく、妥協でも諦めでもない、もしかしたら誰もが思いもしなかったような新たな展望が開けるかもしれない。想定外のゴールをも歓迎する。

対話はチャレンジです!

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次に、こどもの森学園での事例紹介。

「全校集会」は子どもが進行し、子どもも大人も対等で、多数決ではなく誰もが反対しない案を考え、決めていきます。

浮揚面が見えてきたり、その日に決まらないことは次回まで保留にします。

意見や価値観が違ってもお互いが納得のいく方法を見出していくことの大切さを学んでいます。

 

「行事」は、するかしないかを毎年話し合い、みんなで考えてみんなで創っていきます。体育祭や夏祭り、お誕生日会など…

今年度の修学旅行は、大分と京都のどちらに行くか?の話し合いを経て、大分と京都のどちらにも行くことに!

 

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ここまでで前半が終わり、後半は各グループでワークを行いました。

 

1.「多数決で割れる話題」を選択

2.メンバー全員が自分の立場と、なぜその立場を選んだかの理由を表明

3.対話

4.グループ内で気付きのシェア

5.リアル、オンラインそれぞれで全体シェア

 

話題選びが、既に対話的…でした!

「多数決で割れる話題」を多数決ではなく話し合いで決める!?5分で!?

ワークの都合上、時間の制限もあり、完全に話し合いだけで~とはいきませんでしたが、対話的に~というところに全員が思いを馳せながら、話題を選択。

 

各グループが選んだ話題は、

〇体育は必要か

〇ゲームを制限するか

〇評価は必要か

〇フリースクールでランチの時間は決めるべきか

でした。

 

次に、一人ずつ自分の立場と理由の表明。言葉のあらわしかたの難しさを感じながら…

聴く人たちは、話している人の言葉はもちろん、言葉の奥にどんな願いがあるかにも意識を向けます。

 

全員が話し終わると、私たちはとても多様な私たちであることに気付きます。

多数決で割れる話題なので、立場は二つしかありませんが、なぜその立場を選択したかという理由は多様です。

ここから、グループ内で対話をしていきます。誰が話すか、順番も自由です。ついさっき学んだ『対話』を思い出しながら実践していくのです。

 

皆の声を尊重しながら、浮揚面を探りながら、同時に自分の声も尊重します。

これまでのManabeeプログラムで『自己肯定感』と『自己決定』を学んだ私たちは、どんな『対話』ができるでしょう?

 

対話終了の時間を迎え、グループ内でお互いの気付きをシェアしていきます。

私たちの対話は、どんな対話だっただろう?

 

 

その後の全体シェアでは、様々な感想が出ました。

〇対話は難しい。本音と建て前がある。忍耐と時間が必要だと感じた。目的とテーマを明確にしたい。

〇自分と人で、視点が違うことを知った。

〇聴くことに徹した。諦めずに、お互いの願いへ意識を向けていく対話は平和。

〇安心がないと対話は難しい。安心が土台。

〇相手の話を聴くことから、自分との対話、自分への理解も深まった。

〇対話によって皆が納得できることがみつかったとき、とても嬉しい。「皆の話を聴けて嬉しい」がベースにあると、対話は楽しい。嬉しい。

〇合意に達していなくても、安心感と信頼を得られた。お互いに聴くという姿勢によって、そうなる。本音を話せた。

〇問題解決するためではない、在り方の開放だった。皆がそうであれば、対話をしているうちに気付いたら問題解決に至っているかも。

〇いろんな声があっていいんだな。対話はおもしろい。

〇いろんな立場になって、自分も考えられるようになりたい。

〇ゴールを手放すことが、勉強になった。

〇もともと言葉で意見を言うことが苦手だったが、対話にまつわる様々な感覚を味わえたことが嬉しかった。

〇価値観の違う人たちとの対話が、浮揚面につながることを知った。

〇安心して対話できていると、時間が足りないことや意見の相違は、あまり問題ではないかもしれない。

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実に様々な声が出ました。

言葉によって『対話』をする私たち人間にとって、言葉は壁にもなり、窓にもなります。

『対話』の奥深さを実感すると同時に、『対話』によって様々な可能性が広がっていくことも知った時間でした。

 

最後にあゆさん(こどもの森学園スタッフ)から、

問題解決ではない、気持ちを聴き合う対話になったのではないかとお話がありました。

短時間のワークで浮揚面は容易に出るものではないけれど、今回私たちは『対話』の体験ができた。

どのような在り方で対話するのかがとても大事。

自分との対話と、相手との対話のどちらもが大事。

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さて、来月はいよいよManabeeプログラム4つめのエッセンス『ESD』です!

『自己肯定感』『自己決定』『対話』がつながってこその、『ESD』。

引き続き、共に学びましょう!

(K.F)

 

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【概 要】
①全4講座 5/14、6/18、7/16、8/6
Manabee4つのエッセンスを知る、体感する、深める
➁共育プログラムづくりと実施 9/3
(オプション:当学園1日子ども体験)
➂報告会と交流会 12/17
学びの報告と飲んで語り合う時間

【Manabee 4つのエッセンス】
*子どもが意欲的に学習に取り組む<自己肯定感>
*主体性を持って自分の意思で学ぶ<自己決定>
*対話の中で能動的に活動しながら学ぶ<対話>
*その成果を活用して社会に貢献していく<ESD>

【日 程】
講座①「自己肯定感は対話の土台」
5/14(土) 14:00~17:00
講座➁「主体性に学び創造的に生きる」
6/18(土) 14:00~17:00
講座➂「多数決って民主的?」
7/16(土) 14:00~17:00
講座➃「その小さな1歩からミライが変わる」
8/ 6(土) 14:00~17:00
共育プログラムづくり
9/ 3(土) 14:00~17:00
当学園の子どもたちを対象とした共育プログラムをつくっていただきます
共育プログラム実施10月~11月 (日程はご相談の上決めていきます)
作成したプログラムを当学園の子どもたちを対象に実施していただきます
仲間になろう~プログラム報告&交流会~
12/17(土) 17:00~20:00

申し込みはこちらから↓

https://manabee2022.peatix.com/

 

ぜひぜひ、ご参加お待ちしております~!

 

 



☆「みんなで創るミライの学校プロジェクト」チャレンジ中!☆

子どももおとなもまちも、みんなが輝くミライの学校を創ろう!
ぜひとも、みなさんのお力をお寄せください。

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