もりもりサポーター(会員)として

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エッセイ

もりもりサポーター(会員)として

2018/01/18

もりもりサポーター(会員)として

 「子どもに幸せになってほしい」ということは、親として誰もが考える一番の願いだと思います。では、「本当の幸せってなんだろう?」ということになるわけですが、「良い大学や良い会社に入る」という価値観が既に過去のものになっているということは一般的にも広く言われてきています。私は、それを突き詰めて考えてみると、「自分が自分としての人生を生ききる」、つまり「与えられた命を活かす」ことなのだろうと思うのです。しかし、現実的にそれはかなり難しく、気づかないうちに自分以外の誰かの価値観を優先していたり、そもそも自分にとって本当に大切なことがわからなくなってしまい、何となく流されるままに「自分の人生はこれでいいのか?」と思っている人が多いことも日本社会における一つの事実としてあるように感じます。そうなると、いつも自分に自信がなく、他人と比較して一喜一憂し、目先的な怖れと不安で揺れ動く、といったことも起きてしまうのではないでしょうか。私は、自分自身の経験も含めてそんなことがよくわかるからこそ、「すべての子どもたちが自分の奥底から湧き上がる本当の思いに正直になり、一人ひとりの個性を活かし、好きなことや適性のあることで心理的・知的・社会的に自律を果たしながら生きていくことができたら素晴らしい世の中がますます広がっていくのではないか」といつも感じています。

 そんな思いもあり、これまで私たち家族はいくつものオルタナティブな子育てや教育を学び、子どもたちによかれと思って実践してきましたが、振り返ってみると「有名なオルタナティブ教育の手法はよく研究されており、それぞれに素晴らしいがゆえに、どの方法が一番良いかということは実はそれほど大きな問題ではなかった」ように思えます。しかし、この学園で感じた独特の空気感や雰囲気が、特に我々の感性とピタッと合致したと思えるのは、「私たち自身やこの世界がどんな意識のあり方でいたいのか」を問い続け、そこに近づいていこうという姿勢と行動にあったと思うのです。

 

 私の理解しているところでは、箕面こどもの森学園は単に子どもたちにオルタナティブな教育の場を提供しているのではありません。私たち大人も含め、ここに集う仲間たちがワクワクするミライのビジョンを先取りし、その現実を創り出そうとしている場であるように感じています。
したがって、今の時代を象徴する管理型競争社会への違和感や息苦しさを抱えている方々にとっては、「新しい時代に向けた意識のあり方と生き方」について示唆を与えられる場、さらには「いずれ到来するであろう非管理型共創社会のエッセンス」、そして「その中での企業経営やチーム運営のあり方」についても気づきを得られる場になり得ると考えています。

 それが可能なのは、ここに集う仲間たちが「物事の本質をしっかりと見据え、そこから決して目を逸らさない」取組みに挑んでいるからです。そして、便利になった世の中が今後さらに発展していくことは尊重しながらも、「人間として絶対変わらない大切なことは最も大切にしていく」試みを謙虚に実践し続けているからです。理念から具体的な方法論に至るまでの一貫性のある考え方と現場での実践を両輪として追究してきた結果として、この学園には「自由と平等が両立する支配構造のない空間」が何の力みもなく軽やかに創り出されているように感じています。

 スタッフや運営委員は表層的な出来事にただただ振り回されることを良しとせず、いつも根本や軸に立ち返って本質に近づこうとしており、また、壁にあたっても根気よく対話と工夫を重ねながら前に進み続けており、その積み重ねの成果は「ここで学んできだ子どもたち」という地に足のついたステキな果実としてすでに実りはじめています。

 私自身、箕面こどもの森学園の運営に関わってきた中で「大人も子どもも上下がなく、全員が存在として対等であることを前提に学び合う仲間だからこそ本当の自己受容に至り、相手を承認・尊重できるようになる」ことが体験によって腹に落ちました。さらに、「粘り強く対話する姿勢やその風土が根ざしているからこそ、コミュニケーションにより真の相互理解に至る」ことも実感できました。これらは、次の時代の成熟した共創社会に求められるものであり、これからの私たちにとって最も大切な意識になると感じています。

 どんなに多くの本を読み、たくさんの言葉で論理的に伝えてもらっても左脳では理解できないものがある一方、私たちは同じ「場」を共に過ごし直観的に右脳で把えたことにより一瞬で意識の変容さえも起こり得ます。この学園に興味を持ち、ご縁があって集まってきた仲間の中には、「自分の思いとこんなにも近く、共感できる人たちがいたんだ。」「ここが大好きなので一緒に関わっていきたい。」と言われる方も多く見られますが、それはこの出会いをきっかけとして自身の奥底に眠っていた魂の本当の歓びに目覚めることができたためではないでしょうか。
「見たいと思う世界の変化にあなたがなりなさい。」とはマハトマ・ガンジーの言葉ですが、変化は常に自らの中から起こるもので、自らが変われば周囲に伝染し、さらにそれが広がれば社会も変わり、ひいては世界が変わる可能性さえあります。きっと、私たちは与えられた命を活かす何かに目覚め、その輪を広げ、ミライに継続していきたい存在なのだろうと思います。

 もともとは、何もないところからスタートした小さな学校が、ここ数年、たくさんの協力者を得ながらものすごい勢いで進化している姿を目の当たりにしてきました。今思うと、私自身も「子どものため」「学園のため」ということだけではなく、意識と魂の成長を目指す「自分のため」、さらには持続可能な好循環社会の構築を視野に入れた「地域のため」、そして「日本・世界・地球のため」という大きな目的に向けて参加したかったのかもしれません。皆さんも、興味を持たれたらまずは会員(もりもりサポーター)になって是非一度学園に足を運んでみていただき、さらに、よろしければ私たちと共に次のミライを創る仲間となっていただけたら望外の喜びです。

 

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