第11回教育カフェ・マラソン~仲里 靖雄さん


今回は、帝塚山学院小学校で教鞭をとられている仲里靖雄さんを話題提供者にお招きしました。

仲里さんは、私立・公立の両方で教師をされ、学校外での教育活動(「明日の教室」「zat会」)もされておられる、有名な方です。

はじめの40分ほど、仲里さんに話題提供をしていただきました。

仲里さんが教師1年目の帝塚山学院小学校時代のお話から始まりました。
子どもから「ワースト1の教師」と呼ばれていた話は、今日の先生からは想像できませんでした。
一斉指導の授業スタイルを確立されて立命館小学校に転任され、その後再び帝塚山学院小学校に戻られました。
P1000258
そして、帝塚山学院小学校で実践されていえる、本日のメインの「探求型学習」についてお話いただきました。

「探求型学習」とは『答えのない学習』であり、答えを探す学習でもあります。実際の授業風景を、映像を観ながら説明していただきました。

その映像には、教室には“必ずいる人”が映っていません。それは先生です。
撮影しているから映っていないのですが、教室では子どもたち同士で学びあい、みんなで考え、先生がいなくても、みんなで答えを探しだしていました。私たちは、子ども中心の学びの場を観ていました。

仲里さんが探求型学習を通して子どもたちになってほしい姿は、「考える人」「思いやりのある人」「振り返れる人」だそうです。そして映像の中で、子どもたちが活き活きとそれを実践していました!

算数の授業では、黒板の前でみんなに向かって説明しているのは、1人の子どもでした。
彼の話す説明に他の子どもたちは前のめりになって聴き、手を挙げている子どもたちの姿には驚きました。

「なぜ授業の中心にいるはずの先生がいないのか。」

解決方法を導き出すのは子どもたちであり、先生の役割は最後にまとめるだけだそうです。
私たちの知っている教室とは全く違う教室を、私たちも前のめりになって観ていました!!

まとめとして、「答えることのできない問題を扱うことで、答えることのできる問題への取り組みが変わる」とのことです。この「取り組みが変わる」とは、先生が教えるという従来の教授のかたちをすてることです。
先生が中心ではなく、子どもが中心の教室がそこにはありました。

そしてお話は終わり、熟議の話題を提供していただきました。

熟議のテーマは、「先生は本当に大事なのか。」を頭の片隅に置いて、「今学校で必要なものは何か。」について熟議をしました。
P1000265
熟議は3つのグループに分かれて、約25分ずつの2回しました。

各グループ、いろいろな視点からこのテーマについて、活発に対話をはかりました。

私のいたグループでは、「今、不足しているものは何か。」について対話をし、5人全員一致の意見として「今、学校では先生が必要」という答えを導き出しました。
他のグループでは「指導力は何か。」「いい先生とは何か。」など3グループすべて先生の必要性を確認しあいました。

熟議で出た話を最後に各グループほぼ1分で発表してもらい、共有をしました。3グループの意見としては、先生の必要性に加え、「外から学校をみることも必要」「子どもの幸せって何かを考えることも必要」「地域・家庭の協力も必要」と多様な意見が出ました。

クロージングのご挨拶で仲里さんからまとめの言葉をいただきました。

「学校とは何のためにあるのか。学校とは『人間っていいなぁ』と感じる場所であり、この「人間のよさ」を育むのが学校教育である」

仲里さんが最後に、「30分だけでは話しきれないし、熟議も物足りない。もっと時間をかけてやりたいぐらい」という言葉をいただきました。これは私たち運営委員の今後の宿題をいただいたと思います。

仲里さん、そして参加していただきました皆様ありがとうございました。
P1000268
次回(9月13日(金)開催)は、大阪ボランティア協会で活動されている、水谷綾さんをお迎えします。
(H.N)

仲里靖雄さんのビデオアーカイブはこちら