第77回教育カフェ~100回つづける対話マラソン~のゲストは、教育YouTuberの「葉一さん」でした。
葉一さんは、「とある男が授業をしてみた」のYouTubeチャンネルを運営され、こどもたちに学習の機会を提供されている方です。
教師不信になった中学時代
幼少期は、父は多忙で、母に主に育てられたそうです。
中学がターニングポイントで、いじめを経験しました。今のインターネットのいじめと比べたらましだったと言われていましたが、とても大きな経験でした。
人間不信、教師不信に陥る経験もここでしました。
葉一さんは当時少し太っていたそうなのですが、自分の体型をいじって笑いをとる先生がいたそうです。そのときに、「他の人を蹴落として、自分が人気をとれればいいんだ」と感じ、そこから大人・教師が嫌になったそうです。
恩師との出会い
男子校に進学したのですが、そこで松崎先生という恩師と出会いました。
自己紹介が衝撃で、「俺はお前らに好かれるつもりはないから覚悟しとけ」というものでした。
松崎先生は、板書がきれいで、数学の授業がとにかくわかりやすかったそうで、葉一さんも気づけば、数学が楽しくなっていたそうです。
松崎先生のすごいところは、どのタイミングでも絶対質問に答えてくれたり、オンとオフがはっきりしていて文化祭は思いっきりふざけるなど、真正面に人と接してくれているように感じ、気付いたら、その先生のことを信頼していたそうです。
それまでは、音楽のライブスタッフになりたかったそうですが、それ以来教師になりたいかもと感じ、教師の道へと進むことにしました。
教師という道
元々、人にものを教えるのが好きなことや、こどもが好きで、メンタルサポートがメインの先生になりたかったそうです。
しかし、実習で教師の激務を知ります。思い描いている先生の仕事とは程遠いことを感じ、相談したりしましたが、「10年頑張れば余裕が出る」と現職の方にアドバイスを受けましたが、「待てない」と感じたそうです。
そこからは、就職活動を始めました。とにかくきつい仕事をして修行をしたいという思いがあり、営業が良いというアドバイスもあり、内定もらったところも営業だったため、営業の仕事をすることにしました。
しかし、そこの会社も病気の影響で、入社10か月で辞めることになりました。
その後は、知り合いに塾講師に誘われて3年働きました。とにかく1位をとろうと思い、ほぼトップ3に入り続けたそうです。
おかしいと思うことにアプローチしたい
葉一さんは、塾を3年勤めて辞めました。それは、月謝の高さゆえに、塾を選べない人がいることに課題感を感じ、どんな人でも学ぶ機会があった方が良いという思いからでした。
辞めるときには、YouTubeという選択肢は見つけていませんでした。
辞めてから数か月後、たまたまヒカキンの動画を見て、改めてアカウントをつくったり、お金を払わなくても素晴らしい動画が見れていることに感動されたそうです。
そこから、YouTubeなら、子どもたちもお金を払わなくても見れるのではと思い、勢いで知り合いからホワイトボードを借りて、翌日には1本目の動画を投稿しました。
しかし、鳴かず飛ばずの日が続きました。さらに、誹謗中傷も多かったそうです。一番多かった言葉が「偽善者」でした。
届いてほしい子どもたちには、届いておらず、自分がやろうとしていることは間違っているかもと1か月くらい動画が止まった期間もあったそうです。ただ、届けたい人に届くまでは続けようと思い至り、その人たちに役に立たないと言われたらやめようと考えられたそうです。
大切にしているスタンス
話の中で、葉一さんが大切にしているスタンスがいろいろ見えてきました。
・近所のおっちゃんのような存在だと思ってもらう。友だちや身近な家族には言えないことも第3の存在の人には話せたりする。
・カリスマでもなんでもない。少しでもメンタルケア、学力の部分でボトムアップできたら。
・23歳から情熱大陸に出るという夢を言い続けた。YouTubeで勉強するのが当たり前になることも言い続けた。夢が無理と決めるのは周りではない。
「勉強するのは何のため?」「大人の役割ってなに?」
葉一さんから出された熟議のテーマは上のようなものでした。
熟議を終えて、みなさんから出たものをシェアします。
「大人の役割って?」
・安心安全をつくる
・楽しく生きる
・お金は出すけど口出すな
・失敗できる大人
・押し付けるのではなく、提示してくれる
などなど
高校生も参加してくださり、多世代で対話できる時間になりました。
最後に葉一さんから「教育って答えがないから面白い。答えがないから創意工夫ができる。それを感じながら暮らしてもらえれば」とメッセージをもらいました。
葉一さんありがとうございました!!