第51回の教育カフェマラソン、話題提供者は熊野英介さん。株式会社アミタホールディングス会長兼社長をされています。
今回は「私たちは、未来だ!」というテーマで、熊野さんの今の活動につながるお話をしていただきました。
「今の世の中は、何か誤作動を起こしている」という熊野さん。
子どもの頃は、変わった子どもで友達が少なかったらしく、偉人伝がお友達だったとのことで、とにかくたくさん読んでいたそうです。
そして、「なぜ生まれてきたのか、生きていくのか」について問うてきました。
社会課題にも関心を抱き、高校1年生の頃に水俣病に興味が湧き。たくさんの本を読みました。
そんな10代を過ごした熊野さんの価値観に変化があったのが、娘さんが生まれた時。
生まれてきた子どもに「なぜ生まれてきたのか」なんて問うのは失礼だと思った熊野さんは、生まれてきたことをまず喜ばしいこととして、それを自分が証明するのだと考えるようになります。
そうした中で、熊野さんはなぜ誤作動が起こすのかを考え続けました。
「資本主義経済の中、手段であったはずの貨幣なのに、それを得ることが目的化し、貸借対照表の中では人や自然は経費に換算され、経済は動いている。それは本当に人の幸せに寄与しているだろうか」
「『What is Value?(価値とは何か?)』を問い続けて、無駄なものはない。」
熊野さんは20代後半で産業廃棄物の再利用に目をつけます。最初は追い返されるも、時代の変化に乗って求められるようになっていきます。
ところが、簡単にできるものは真似されてしまい、大きな資本に勝てないようになっていきます。
そこで熊野さんは、大変でも自分たちにしかできないことをすること。自立、模倣不能性を目指すようになり、そして強みを創り上げていきます。
そこから更に野心を持って、自然資本と人間関係資本に注目し、第二の公を増やし、近代を超えることを考えて動きます。
アミタホールディングスの定款の1条には「自然資本と人間関係資本の増加に資する事業のみを行う」という言葉を入れ、信念を持って活動するようになります。
人間は弱いからこそ、つながりが必要だったり、助け合ったりできる。それを体現するのが本来の資本主義と民主主義。それが誤作動しているように見える今、信頼を資本にした仕組みを作った。それが共感融資の仕組み。
熊野さんは現在に至るまでそんな試行錯誤を続けられています。
人間は弱いからこそ強い。 これからは、投票ではなく、何を買うかの購買活動によって意思を示していくような、民主資本主義、そして自立分散ネットワーク社会になっていくのではないだろうか。
「価値とは心で決まる」
40年間問い続けてきた問いへの今の答え。
サステイナブルとは、持続的に生態系の繁栄と人間性の繁栄が共生できる共存権の構築すること。
技術の発展に伴い、知識や身体が外在化していく。
そんな中、哲学のような答えのない問いが、より大切になっていく。
人は信じることができることを証明したい。
人は弱いからこそ強いんだ、ということを証明したい。
そんなアツい思いが伝わってくるお話でした。
今の日本は、人類は衣食住足りても不幸である、という今まで考えられなかった事態に直面し、超高齢社会になっています。 それを踏まえて「100年社会をどう作っていくのか」が、熟議のテーマになりました。
常識を疑い、外していくこと、思い込みに気付くこと、それが新しくやってくる100年社会を生きるために必要な姿勢ではないか。命の大切さに目を向けてそれを中心に置いて考える。目指す社会のビジョンをどう共有して連携していくのか。どうやって安心を作るのか。
皆さんから出たシェアは、幸福論に関してのこと。そしてそれは自由の獲得がポイントであるとたどり着きました。「利益を求める功利主義、そして権威主義…さらに個人主義にたどり着き競い合って自己実現をしていく中での大量生産大量消費、自由を求めて不自由になっていった…などといった声が挙がりました。