第45回の教育カフェ・マラソンは、助産師の村島和代さんです。村島さんは「Happy babies あなたの助産師相談室」の代表をされています。
最近自分の周りでもお子さんが生まれたということもあり、非常に縁のあるタイミングだなぁと思いました。
昔は「産婆さん」だった呼び名が「助産婦」を経て、今では「助産師」と呼ばれるようになりました。ほとんどの人が何らかの形で関わっている職業なのではないかと思います。
助産師と聞くと出産の補助をするイメージに結びつきますが、村島さんは病院勤務を経て助産師相談室を開業されました。
村島さんが准看護師の頃は手術の成功率も今ほど高くなく、病院で人が亡くなることに慣れていく自分がこわくなり、その生活から抜け出してみたいと思った村島さんは、縁あって助産師学院へ学びに行くことになったそうです。
卒業後に小児科病棟に移ると、NICUの立ち上げに関わることになりました。そして2008年、出産を控えた妊婦さんが脳うっ血を起こし、救急車の中で病院をたらいまわしにされ
て亡くなった大淀病院の事件を通じて、自分の仕事にしんどさを感じはじめました。
そんな中、産後うつ状態の母親の訪問相談の依頼を医師から託されました。
そこで旦那や子どもとの関係の中でのストレスで、気持ちが沈んだ母親の思いを何時間も聞くなかで、孤独に育児と向き合わなければならない母親の現状を目の当たりにした村島さん。
この経験から、助産師という専門職が、母親に対して何かの形で育児相談をできればと思い、開業を決意したそうです。
それが「Happy babies あなたの助産師相談室」でした。
子育ての悩みを相談する相手が周りにおらず、孤独に子育てに向き合う母親の方々を誘ってハッピークラブを作ると、会が始まるとともに赤ちゃんを連れたたくさんの母親が集まってきたそうです。それほどたくさんの方が子育てに悩んでいたのかと驚いた村島さんでしたが、彼女たちが縁を広げることに嬉しさを感じていたようです。
それから助産師の訪問相談を通して地域に助産師がいれば、赤ちゃんを持つ母親の助けになると思い、助産師以外の活動で母親を助けることを、村島さんはこれからも考えていくそうです。
今回の熟議のテーマは、「地域の子育て支援で私ができること」 と「性教育のこれから」でした。
地域の子育て支援に関しては、私たちが地域で子どもを育てることができなくなったのはなぜかという話になりました。様々な話がでてきましたが、一番地域に対して不安で、人々とのかかわりを絶ってしまっているのは大人自身なのではないかという話になりました。
もし、地域の人びとと関わりあえれば、子どもはどんどん信頼できる大人の輪を広げることができるはずです。子どもを孤独で危険な存在にしているのは、それを最も望まない大人たち自身なのかもしれません。
性教育のこれからに関しては、親が子に対して持つ恥ずかしさゆえか、学校に丸投げしてしまう現状をうなずける反面、モヤモヤとするものがありました。
大事なことゆえに自分が教えられないということもあるでしょうが、何よりも子どもが性に関する知識をつけることをよしとしない風潮があるのではないかという意見や、大人のエゴで子どもに対する知識を縛ることは果たしてどうなのかという意見もありました。
子どもに誠実に、相手も自分も大切にするような性知識をつけることも重要ですが、その一方でどれだけ知識があっても自分の身や心をボロボロにする環境を社会の関係のなかで改善することも重要だという視点がありました。
目の前の問題を解決することも重要ですが、その問題を生み出した環境に対する大きな視点でのアプローチを考えていくことが大事なのではないかと思いました。
(O.Y.)
次は11月11日(金)話題提供者:高井啓大郎さん(のあっく自然学校 代表)
です。お楽しみに!
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