第69回教育カフェマラソン、阪上由香さんのお話です。
スライドのタイトルは「校内居場所から見える課題。」。
阪上さんの自己紹介。大学生の頃、やりやすいという気軽な理由から塾の講師のアルバイトをしていた。 教えてもなかなか成績が伸びない。 そんな中、それぞれの子ども達の背景に原因があるのではないか、と思うようになりました。
そしてよく考えると、身近でも、たくさん困難を抱えている人がたくさんいることに気付きました。 そこへの課題意識が、今の活動の原点。
困難な背景に向き合っていくのは大変で、気持ちや身体を壊すこともありながら、自分の子ども若者への想いを確かめるために、発展途上国に行ってみることに。 そこで子ども若者に触れ、元気をもらい、まずそこへの恩返しがしたいと考えるようになった。
自分の活動のスタイルだと、NPO法人がいいだろうということで、法人を設立。 発展途上国の支援をしながら、それでも気になっていたのは学習塾で出会ったような子どもたちでした。
国内に目を向けて、自分にできることはと考えた結果、校内居場所を始めます。さらに地域の居場所事業もスタートさせました。 国内外で、当事者の声を中心に、と直接接して声を聞くことを大切に事業を展開されています。
大阪市大正区から始め、西成区、箕面市、港区、生野区と展開していきました。 それぞれの地域にそれぞれの課題がありました。 当事者の声を聞きながら、自分たちで作っていっています。
資料として配っていただいた校内居場所の若者たちの声を見てみました。 そのひとつひとつから、いろんなことが感じられます。 そこから見えてくる課題があり、どんな風に関わったらいいのか、が見えてくることがあります。
もやもやが表現された声から、いろんな社会課題が見えてくる。 それに耳を傾けていく活動。
困難な環境で生きている若者の現状から、課題がたくさん見えてきます。 低い情報リテラシー、困難さが当たり前になる、支援を受けるのが当たり前になると、福祉依存状態に… それについてアプローチしていきます。
校内居場所では、理由なく行くことができ、気軽に話ができる。 対話の中で課題が発見できたり、ロールモデルと出会うきっかけがあったり、文化的経験することにつながる文化的なフックができる。 こども食堂などのように、外に出るものには行きづらさがある。
今の学校の体制では、多様な価値観を受け入れられない。 校内居場所は、有効ではあるが、根本的な解決にはならない。 実際に若者と接すると、想像もしていなかった現状に出会うことがある。 課題の背景の複雑さ、根深さが見えてきます。
今回の熟議のテーマは
・学校で伝えるべき知識は何か。
・5年後も彼、彼女らが社会とつながっているためには、学校と社会はどうあるべきでしょうか
でした!
熟議が終わって全体でシェアタイム!
学校が伝えるべきこと、とは、先生が学んでおくべきことに関わってくる。困難を抱えている若者を支援しようという発想ばかりでなく、何か役割を担ってもらったら。子どもが多面的な顔を持てるように。 いろんな考えがシェアされました!
変えることができないだろう、と思ってしまっていることこそ見直して、変えられる可能性を探ること。つながることが目的ではなく、そこから何ができるか。そのままになっているものを疑って壊して、再構築していくような。 疑問を持って、何かを変えるために活動していけたら。
知っているつもりでも普段接することがないと思いを馳せることが少ない現状に気付くことができる貴重な時間でした。 そして、勇気の出るお話をありがとうございました!