第58回目の話題提供者は黒川洋司さんです。
黒川さんは、株式会社ヒューマンハーバー大阪、良心塾の代表をされています。
良心塾とは、少年院出院者の、生きるちからを育む人間教育をされている場です。
日本の犯罪件数は減っているが、再犯率が高い。それをなんとかしようとプロジェクトを立ち上げました。 仕事がない人の再犯が多いことに注目し、美容室を経営して少年院から出た人を雇う取り組みを始めました。
「誰もが明るい未来にむかって歩める加害者も被害者も増えない社会の実現」を目指し、活動されています。
大阪に生まれ育った黒川さん。両親の離婚も経験しながら、安定しない家庭環境で、少しずつ悪さもするように… 野球が好きでそれに打ち込むが挫折し、15歳で暴走族に入り、暴走を繰り返すようになる…
19歳で反社会組織に入り活動。ただ、事件もあって命の危険も感じ、21歳で自分の身体に傷を付けて組織を抜けさせてもらいました。
組織は抜けても、頭と身体は簡単には変わらなかった。 舗装業につき仕事に勤しむが、些細なことで喧嘩をしてしまうことも多くあり、逮捕状を出され執行猶予つきの有罪判決を受ける。
身内が保釈金を集めてくれて保釈され社会復帰するも、それほど変わらず、計画もなく子どもができ、結婚し、お金のためと考えて起業する。
32歳で美容室をオープンし、心配性からオーナーとしてお店で挨拶したり掃除したりしながら過ごしていると、とても繁盛するお店に。 2号店の話も出て、それも大成功をおさめる。 それで役に立ったり感謝されたりする喜びを感じる。
しかし、母の病気が急変し、そこから意識が一度も戻ることなく他界。 今までのことを謝ることも何もできずに別れを迎えてしまい、悲しみにくれる。
泣いていると、小学校1年生になる息子が、何でそんなに泣いてるの?と言ってきた。 子どもはよく見てるなぁ、確かにこれまで好きなようにしてきたのに… といろいろ思い返し、反省するようになる。
そこで、母親に恥じない人生を送ろうと決意し、読んだことのない本をたくさん呼んだり、靴を揃える、ゴミを拾う、というような些細なことで行動を変えてみた。 そうすると、起こることも自分が行く場所も変わっていった。
後悔するのではなくて、反省をして行動を変えていくこと、それが自分の身の回りを変え、自分の運命を変えていく、ということに気付いた。
そして、自分の経験も活かし、良心塾を立ち上げる。 住むところと働くところ、そして教育が必要だと考えて、いろんな取り組みを作っていきました。
少年院を出ても身元の引き取り手がない人にも住居や仕事を提供し、社会の役に立つための学びができる場も提供。 生きるちからを育み、再犯をせずに社会復帰して、新たなスタートを切っていけるような仕組みを作りました。
実際に住み込みで入塾してもらい、仕事をしてもらうと才能を発揮する人がいたり、素晴らしいスキルに気付いたり、それで人を喜ばせることができたり… 素敵な効果が見られました。
そんな取り組みを続け、経済的にも自立して生きていけるように、そして、その子どもへの連鎖を断って、本当に子どもを愛せる家庭を作ってもらうように、と活動を続けています。 それが全ての子どもが笑って暮らせる社会につながるはず…
本日の熟議のテーマは 若者犯罪についてどう思いますか? という問いです。 今日は塾生の方も2名来られて、熟議に参加していただきます。
塾生さんが描いた絵で、カレンダーもできているそうです♪
居場所が大事、全てを受け入れて承認してくれる存在がいるかどうか、それが大切。 犯罪も、結果はどうあれ、自分を高めたくてしていたことだったりする… 当事者からの生の声もある、素敵な時間でした。
傷害事件で捕まってしまった経験のある塾生からは、自分を振り返って、若者の犯罪は「さみしい」「居場所がほしい」から始まる、と実感を持って語ってくれました。 とても響く言葉がたくさんありました。
過去のことは変えられない。けれど、その過去がなければこうして出会ってはいない。過去の謝罪は必要だけど、それをしっかりした上で、反省してこれからの未来を作っていけばいい、そんなお言葉をいただきました。 黒川さん、ありがとうございました!