第47回教育カフェ・マラソン~山本真行さん(高知工科大学 システム工学群教授)~


【つなぐということ】

「宇宙の渚」と呼ばれる、限りなく宇宙に近い超高層大気。

その研究をされ、あの探査機はやぶさ帰還時のカプセル回収チームにもおられた山本真行さんからの話題提供。宇宙好きにはたまりません。

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大阪で過ごした少年時代の趣味は、鉄道。時刻表が愛読書で、それを見て旅に出る想像を膨らませたり、電車の動力システムにも興味を持ったり。中学2、3年の頃、ハレー彗星がきっかけで宇宙へ興味を持ち、天文学がやりたくて仙台の大学へ進まれたのだそうです。
キラキラした瞳でとても楽しそうに語られている姿が印象的。
山本さんの研究は環境を知る研究。そして、防災に役立つシステムの開発にも関わられています。
例えば、小さなロケットをJAXAから打ち上げ、「宇宙花火」で超高層大気の風を調べる実験をされているとのこと。地球の上空の風がどう動いているかはまだわかっていないし、地球のことがわからないと温暖化の原因も本当はわからないのだそうです。
NASAで大気圏突入カプセル(何かが宇宙に行って帰ってくるときの乗り物)がどうやって燃えずに帰って来られるのかを研究したり、オーロラを研究したり…。
なんだか壮大でわくわくしますね。

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たくさんの人がひとつの研究にも関わり、色んな人が色んな方法でやって答え合わせをしないと実験はできないのだそうです。
また、数年前イトカワという小惑星に探査機はやぶさが行った際には、砂漠に落ちるカプセルの回収チームにおられました。

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実はそのはやぶさ帰還時の音、つまり爆発音が防災にも役立つのだそうです。
東日本大震災の時見たテレビの画面。実は津波の警報が出すべきところに出ておらず、科学的に低く見積もられてしまったのだそうです。
山本さんはなんとか現実に近い警報に近づけたいと考え、津波の音を拾って予測する実験をされています。

 

山本さんの研究は、ひとつから他のことに派生し、応用し、つながっていきます。
科学とは、人類として新しい何かを発見すること。自然の摂理を理解すること。
そしてそれを役立てて人類に役立つ何かを作る、それが技術。

科学と技術はつながっている。
果たして宇宙開発は役立っているだろうか?と山本さんは問われます。

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熟議のテーマは「宇宙開発には価値があるのか?」そして「小さな学校でできること」です。前者では、未知を知ることに価値があるという意見や、価値じゃなくてやりたいんだからやったらいいんだ、という意見が出ました。

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後者については。小さいからできるのか、大きいからできないのかというより、ベースに共通認識があること。それがあって初めて小さいことの利点が活きるのだという意見や空き教室の利用についてデイサービスなんかのアイデアが飛び出しました。

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山本さんは発表を受けて「つなぐこと」についてお話されます。

ひとりひとりの科学者は重箱の隅をつつくような研究だけどそれをつなげるのが大切です。また、研究ではよもやと思うことが関連していて、こんなこと勉強しなくていいと思っていたものがふっと出てきたりする。
つなぐということは考えられるということ。
最近は断片化して例えば携帯番号などの記憶は携帯に任せている。
考えることもコンピューターがやり始める。
だからこそ教育を根元に戻って考えなきゃと感じるのだと。

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「小さな学校にできること」という問いを出したのは高知に廃校がたくさんあるからで、こどもの森でやっているようなことが田舎に輸出できればまた都会にも戻ってきて、すごいことができるのではとおっしゃっていました。
イマジネーション、つなぐことから生まれる可能性、そして個々に深まった知恵をまたつなげて統合することの重要性が山本さんのあり方から透けて現れるようでした。
それって、子どもたちの学びの場で大切にしたいことと共通しています。
「Why?」「なぜなぜなぜ?」って重要なこと。子どもの時はみんなそうだけど、それを大人になってもやり続けているのが科学者。
とおっしゃった山本さんを見て、目の輝きのワケをお聴きしたような気がしました。(Y.N)

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